「医療用医薬品の添付文書の在り方及び記載要領に関する研究」

文献情報

文献番号
201034007A
報告書区分
総括
研究課題名
「医療用医薬品の添付文書の在り方及び記載要領に関する研究」
課題番号
H20-医薬・一般-012
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
上田 志朗(千葉大学 大学院薬学研究院 医薬品情報学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 信範(千葉大学 大学院薬学研究院 臨床教育)
  • 安原 一(昭和大学 医学部 第二薬理学)
  • 服部 元史(東京女子医科大学 腎臓小児科)
  • 大山 邦男(東京薬科大学 臨床ゲノム生化学)
  • 遠藤 一司(明治薬科大学 医薬品安全管理学教室)
  • 後藤 一美(聖路加国際病院 薬剤部)
  • 小林 江梨子(千葉大学 大学院薬学研究院 医薬品情報学)
  • 櫻田 大也(千葉大学 大学院薬学研究院 医薬品情報学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療用医薬品の添付文書は、薬事法第52条の規定に基づき製造販売業者が作成し、医薬品に添付するものである。現行の医療用医薬品添付文書の記載要領は平成9年に改訂された後、10年以上経過し、その間、医療の進歩や高齢化の進展、IT技術の進歩など医療を取り巻く環境は大きく変化した。本研究班では、医療関係者(臨床医・薬剤師)、大学関係者に加え、製薬企業の協力を得た研究メンバーのもと、平成20年度から3年計画の3年目として、新しい医療用医薬品添付文書の在り方を検討することを目的とした。
研究方法
平成22年度には、これまでに我々が実施した全国の病院・薬局等の医療機関に従事する医師・薬剤師を対象とした医療用医薬品添付文書のアンケート調査(以下「H21・22大規模アンケート調査」という。)の結果を中心に、さらに、医薬品添付文書の各項目に関して検討した。
結果と考察
医薬品情報としての現行の添付文書の位置づけは、大多数の医師及び薬剤師から「重要」であるとの認識が得られ、記載順序についても概ね良いと考えられていることが明らかとなった。しかし、後方に記載されている承認条件は過半数がその存在を認知していないこと、添付文書の中で重複する部分が多いこと、等の点が指摘された。これらを克服するためには、例えば承認条件を前方に記載する、高齢者・妊産婦・授乳婦・小児の項の内容を慎重投与の項に一括して記載するという記載順序の変更が必要と考えられた。しかし、これらの記載順序の変更だけでは不十分で、各項目の記載内容についての検討も必要である。アンケート調査と、本年度の各研究分担者の検討で明らかとなった各記載内容に対する課題としては、例えば、形式上必要とされている文章が多く、知りたいポイントがうまく探せない、小児・高齢者・妊産婦・授乳婦に関してデータが少なすぎ画一的な情報で役に立たない、肝・腎機能障害の程度による推奨用量の具体的な記載をしてほしい、重大な副作用の初期症状や対処方法を記載してほしい、禁忌と原則禁忌の区別が不明瞭といった各使用上の注意の記載内容に関するものが多数存在していた。
結論
添付文書の全体の記載だけではなく、今後はさらに使用上の注意の各項目の記載内容について十分な検討をしていく必要性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2011-06-08
更新日
-

文献情報

文献番号
201034007B
報告書区分
総合
研究課題名
「医療用医薬品の添付文書の在り方及び記載要領に関する研究」
課題番号
H20-医薬・一般-012
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
上田 志朗(千葉大学 大学院薬学研究院 医薬品情報学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 信範(千葉大学 大学院薬学研究院 臨床教育)
  • 安原 一(昭和大学 医学部 第二薬理学)
  • 服部 元史(東京女子医科大学 腎臓小児科)
  • 大山 邦男(東京薬科大学 臨床ゲノム生化学)
  • 遠藤 一司(明治薬科大学 医薬品安全管理学教室)
  • 後藤 一美(聖路加国際病院 薬剤部)
  • 小林江梨子(千葉大学 大学院薬学研究院 医薬品情報学)
  • 櫻田 大也(千葉大学 大学院薬学研究院 医薬品情報学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療用医薬品の添付文書の記載要領は平成9年に改訂された後、10年以上経過し、その間、医療の進歩や高齢化の進展、IT技術の進歩、ゲノム創薬など医療を取り巻く環境は大きく変化した。本研究班では、平成20年度から22年度までに、新しい医療用医薬品添付文書の在り方を検討することを目的とした。
研究方法
本研究は、全国の臨床の医師薬剤師に対する添付文書に関する大規模調査と、その結果及び実際の添付文書の記載内容並びに米国の添付文書の検討を実施した。
結果と考察
医薬品情報としての現行の添付文書の位置づけは、大多数の医師及び薬剤師から「重要」であるとの認識が得られ、記載順序についても概ね良いと考えられていることが明らかとなった。しかし、後方に記載されている承認条件は過半数がその存在を認知していないこと、添付文書の中で重複する部分が多いこと、等の点が指摘された。これらを克服するためには、例えば承認条件を前方に記載する、高齢者・妊産婦・授乳婦・小児の項の内容を慎重投与の項に一括して記載するという記載順序の変更が必要と考えられた。しかし、これらの記載順序の変更だけでは不十分で、各項目の記載内容についての検討も必要である。例えば、形式上必要とされている文章が多く、知りたいポイントがうまく探せない、小児・高齢者・妊産婦・授乳婦に関してデータが少なすぎ画一的な情報で役に立たない、肝・腎機能障害の程度による推奨用量の具体的な記載をしてほしい、併用禁忌・併用注意の場合に片方の薬剤に記載されていない、重大な副作用の初期症状や対処方法を記載してほしい、禁忌と原則禁忌の区別が不明瞭といった各使用上の注意の記載内容に関するものが多数存在していた。
結論
添付文書全体の記載順序だけではなく、使用上の注意の各項目に、臨床上必要とされる情報をいかに記載するかという点がさらに検討が必要であることが明らかとなった。今後は、使用上の注意の各項目の記載内容について、より改善を目指した検討をしていく必要性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2011-06-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201034007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
全国の臨床の医師・薬剤師に対する医薬品添付文書に関する大規模調査の結果から、医療関係者にとって現行の医薬品添付文書が医薬品情報として重要な位置づけであることが明らかとなった。
臨床的観点からの成果
わが国の医師約3,500名及び薬剤師1,700名を対象とした大規模な調査から、現行の医薬品添付文書全体の記載順序について大きな問題点はないものの各項目の記載内容は、臨床のニーズを踏まえて、その記載の在り方をさらに検討していく必要があることが示唆された。
ガイドライン等の開発
該当なし
その他行政的観点からの成果
行政的に第一義的な医薬品情報である医薬品添付文書の記載要領の在り方について医療関係者の視点から医薬品添付文書を検討することができた。添付文書全体の記載順序や使用上の注意の各項目に臨床上必要とされる情報をいかに記載するかという点についてさらに検討が必要であることが示唆され、今後、これらの検討を加えることにより、医療関係者のニーズに応えて最終的には医療サービスを受ける患者へ医薬品の適正使用といった形で還元されるものと考える。
その他のインパクト
該当なし

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
11件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
向本知香,簾貴士,井上真理,他
医療用医薬品添付文書の活用実態―薬剤師に対するアンケート調査―
医薬品相互作用研究 , 33 (2) , 9-14  (2010)

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201034007Z