文献情報
文献番号
201034004A
報告書区分
総括
研究課題名
献血血の安全性確保と安定供給のための新興感染症等に対する検査・スクリーニング法等の開発と献血制限に関する研究
課題番号
H20-医薬・一般-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
倉根 一郎(国立感染症研究所 )
研究分担者(所属機関)
- 小林 睦生(国立感染症研究所 )
- 田島 茂(国立感染症研究所)
- 百瀬 俊也(日本赤十字社 血液事業本部)
- 岡田 義昭(国立感染症研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
近年、これまで日本には存在しなかった病原体が国内に侵入する可能性が危惧されている。国内でウエストナイル熱やデング熱等が発生した場合、早期に適切な献血制限地域を設定し、一方で必要な献血量を確保しなければならない。蚊の種類や行動範囲等の研究結果を基に制限地域を設定する必要がある。一方、シャーガス病は南米に流行する慢性の感染症である。これまで南米居住歴を有する献血者の抗体保有率等の研究は実施されていなかったが、実態を明らかにすることは輸血の安全性に貢献する。本研究は病原体やベクターの研究により献血血の安全性確保と安定供給に貢献することを目的とする。
研究方法
献血血の安全性確保と安定供給のため、変異型プリオン病、シャーガス病、およびウエストナイルウイルス等のフラビウイルスを対象として検査•スクリーニング法等の開発と献血制限に関する研究を行った。
結果と考察
プリオン研究については、マウス白血病ウイルスに感染した細胞株は非感染細胞に比べ、異常プリオンのシグナルが増強していた。在日ラテンアメリカ人及び南米長期滞在日本人を検査希望者についてT.cruzi抗体検査を行った。その結果9人が抗体陽性であった。内訳はボリビア人2名、ブラジル人2名、日系人4名、南米滞在暦のある日本人1名であった。中南米諸国の居住歴を有する献血申込者数及び献血者数を集計・解析した。献血申込者の84-85%が献血していた。東海四県管内における献血申込者のうち同意を得た者に対し、Trypanosoma cruzi抗体検査を実施したが、陽性者は認められなかった。ウエストナイルウイルス感染献血者への対応について、迅速かつ広域的な対応を可能とするために、日本赤十字社のNAT施設へ導入しているWNV-NAT試薬についての感度、特異性等について検討した。95%検出感度は30コピー/mLであった。ヒトスジシマカの公園内の成虫発生状況と防除効果を評価した。防除を行った公園内では成虫密度が低く抑えられていた。また、ヒトスジシマカの飛翔範囲は150m程度あることが推察された。
結論
本研究では変異型プリオン病、シャーガス病、およびウエストナイルウイルス等のフラビウイルスを対象として検査•スクリーニング法等の開発と献血制限に関する研究を行った。スクリーニング法の開発や献血制限を検討することによって安全な血液の供給のための科学的基盤が進展した。
公開日・更新日
公開日
2011-06-02
更新日
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