NMRを用いた食品中の食品添加物分析法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201033054A
報告書区分
総括
研究課題名
NMRを用いた食品中の食品添加物分析法の開発に関する研究
課題番号
H22-食品・若手-020
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
大槻 崇(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部 第一室)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品中の食品添加物分析では,主にGC,HPLCなどが用いられている.しかし,これらの分析は試料によって煩雑で長時間を要するクリーンアップ等を必要とするため,改善を望む声が大きい.また,これらは相対定量法であるため,測定対象物質と同一かつ純度が正確な定量用標準物質が必要であるが,計量学的に妥当な手順によって値付けされたものは少ない.従って,計量学的に不正確な標準物質を用いた場合,得られる分析値の信頼性は損なわれる.そこで本研究では食品中の食品添加物分析の精度向上を目指して,qNMRを利用した食品中の食品添加物分析法の開発に関する検討を行った.
研究方法
(1)食品添加物の1H NMRスペクトルパターン情報の収集
食品添加物標準物質の1H NMRを測定し,スペクトルパターン情報を収集した.
(2)選別された食品添加物へのqNMRの適用性
選別された食品添加物についてqNMR分析を行い,定量に最適なシグナルの選択,公定法による結果との比較等について検討した.
(3)qNMRを用いた食品中のソルビン酸分析法の確立
食品中のソルビン酸分析における本法の適用性を検討するとともに公定法による結果と比較した.
結果と考察
(1)食品添加物の1H NMRスペクトルパターン情報の収集
保存料3種,酸化防止剤2種について検討し,これらのスペクトルパターン情報を収集した.
(2)選別された食品添加物へのqNMRの適用性
ソルビン酸,安息香酸についてqNMRの適用性を検討し,qNMRは公定法(滴定法)と同程度に正確な定量結果を与えることが明らかとなった.
(3)qNMRを用いた食品中のソルビン酸分析法の確立
qNMRを利用した分析法(溶媒抽出/qNMR)を用いてソルビン酸の使用が許可されている食品11種を対象に添加回収試験を行ったところ,回収率ならびに定量再現性は良好であった.また,ソルビン酸が使用された食品5種中のソルビン酸含量を測定したところ,すべての試料において本法と公定法の結果はほぼ同等と判明した.従って,本法は公定法(水蒸気蒸留/HPLC)と同程度に正確な定量結果を与えることが明らかとなった.
結論
本検討よりqNMRを利用した食品中のソルビン酸分析法を確立した.本法は,迅速性,簡便性,定量再現性に優れているとともに,正確な純度が付与された標準物質を用いて定量を行うため,分析値の信頼性も向上した方法であり,新たな食品中のソルビン酸分析法として極めて有用であることが判明した.

公開日・更新日

公開日
2011-05-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201033054Z