文献情報
文献番号
201033051A
報告書区分
総括
研究課題名
腸管粘膜免疫組織パイエル板上皮細胞バリアの分子基盤に立脚した迅速かつ簡便な食物アレルギー予測評価系の開発
課題番号
H21-食品・若手-019
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 昌夫(国立大学法人 大阪大学 大学院 薬学研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
6,409,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本年度は、昨年度作製したレポーター活性を指標にしたCL-4バリア評価系を用いて、食品添加物のCL-4バリア制御活性を解析し、ヒット化合物についてCL-4発現制御活性、ヒト腸管モデル細胞系における粘膜バリア制御活性を解析し、食品添加物の粘膜バリア制御活性情報の集積を図ることを目的とした。
研究方法
前年度に単離したCL-4レポーター遺伝子安定発現細胞株を用い、88種類の食品添加物についてレポーター遺伝子発現細胞に対する細胞毒性を検討した。次に、細胞毒性を示さない濃度域で食品添加物を添加し、添加24時間後にルシフェラーゼ活性を解析した。レポーター活性の上昇、低下が観察された食品添加物についてCL-4 mRNAの発現制御能を解析し、ヒト腸管モデル細胞系であるCaco-2細胞の単層膜培養系を用い、膜電気抵抗値を指標に食品添加物の粘膜バリア制御活性を評価した。
結果と考察
解析した88種類の化合物のうち、1種類の化合物でCL-4発現低下活性、3種類の化合物でCL-4発現亢進活性が観察され、ヒト腸管細胞系においてそれぞれの粘膜バリア低下作用、亢進作用を有していた。
以上、CL-4バリア制御活性を指標にした食品添加物の安全性解析基盤を確立し、一部の化合物について安全性情報を集積した。また、CLバリアを強固にする活性を有する食品添加物を同定し、炎症性腸疾患に対する病態改善活性を有する機能性食品の開発シーズ、医薬シーズとしての応用の可能性を見出した。
以上、CL-4バリア制御活性を指標にした食品添加物の安全性解析基盤を確立し、一部の化合物について安全性情報を集積した。また、CLバリアを強固にする活性を有する食品添加物を同定し、炎症性腸疾患に対する病態改善活性を有する機能性食品の開発シーズ、医薬シーズとしての応用の可能性を見出した。
結論
本年度は、88種類の食品添加物についてCL-4バリア制御活性を詳細解析し、1種類のCL-4バリア低下物質、3種類のCL-4バリア上昇物質の同定に成功した。今後は、腸管粘膜バリアを有することが知られているCL-1やCL-2などについてもバリア評価系を構築し、粘膜バリアの分子基盤に着目した食品添加物の安全性情報の集積を図る予定である。また、CL-4バリアを強固にする作用を有していた化合物について、機能性食品への応用などを視野に入れ、動物レベルでの解析を進めていく。
公開日・更新日
公開日
2011-05-18
更新日
-