文献情報
文献番号
201033048A
報告書区分
総括
研究課題名
下痢性貝毒のマウス・バイオアッセイの原理・機序の解明、および代替法の開発に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H21-食品・若手-015
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 穂高(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
研究分担者(所属機関)
- 町井 研士(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
我が国の下痢性貝毒の検査は、現在、マウスの生死によって判定するマウス・バイオアッセイ(MBA)が公定法とされている。MBAは検体の処理・抽出に1?2日、マウスに投与後1日、計2?3日と時間がかかり、また、マウスの生死で判定を行うため、感度が高くないという問題がある。そこで本年度は、昨年度の研究で明らかにしたMBAの機序・原理に基づいて、MBAを迅速化、高感度化することを目的とした。
研究方法
昨年度の研究において、致死量のオカダ酸をマウスに腹腔内投与すると、全てのマウスで投与1時間以内に35℃以下となるような急激な体温低下を示し、多くのマウスでは3時間後以降に30℃を下回るような低体温状態となることが示された。このことから「体温低下」を指標としたMBAの迅速化、高感度化の可能性について検討した。また、現在の公定法ではddY又はICR系統という非近交系を用いることとなっているが、近交系マウスを用いることにより高感度化する可能性についても検討した。
結果と考察
下痢性貝毒(オカダ酸)を腹腔内に投与したマウスでは体温の低下が観察されるが、その体温低下の程度は投与した毒量と高い相関を示し、用量依存性が認められた。体温低下は投与2?3時間後には著明であること、サーモグラフィー・カメラを用いて簡便に多検体をモニターすることも可能なことから、MBAの判定の指標として用いることでMBAを迅速化、高感度化できる可能性が示された。また、ddY、ICRという公定法に定められた2系統の非近交系に加え、5系統の近交系を用いて下痢性貝毒の感受性の系統差について調べたが、BALB/c、C57BL/6、ddY、ICR系統は感受性が高く、A/J、C3H/He、DBA/2系統は感受性が低いことが明らかとなった。
結論
体温低下をMBAの判定の指標として用いることで、MBAを迅速化、高感度化できる可能性が示された。また、公定法の制定に当たって、マウスの系統差について検討したという情報は得られなかったが、公定法に定められたddY、ICR系統は、下痢性貝毒に対する感受性が高いことが明らかとなり、MBAに用いることの妥当性が示された。
公開日・更新日
公開日
2011-05-30
更新日
-