冷凍食品の安全性確保のための微生物規格基準設定に関する研究

文献情報

文献番号
201033037A
報告書区分
総括
研究課題名
冷凍食品の安全性確保のための微生物規格基準設定に関する研究
課題番号
H22-食品・一般-009
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
春日 文子(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部 第三室)
研究分担者(所属機関)
  • 椿 広計(統計数理研究所 データ科学研究系)
  • 大西 俊郎(九州大学大学院 経済学研究院)
  • 朝倉 宏(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部 第一室)
  • 杉山 広(国立感染症研究所 寄生動物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 国際動向を見据えた食品微生物規格設定のための科学的理論構築を目的に、冷凍食品を例として、1.食品微生物規格設定のための食品の分類法の検討、2.食品微生物規格設定の理論構築、3.諸外国での寄生虫に対する食品の規格基準の調査、4.寄生虫の低温での死滅動態に関する知見の集積を行った。
研究方法
1.公益財団法人日本適合性認定協会が作成した食品分類表に、国際食品微生物規格委員会(ICMSF)が危害要因として定める微生物種を適合させることで、食品と病原体の組み合わせを作成した。2.食品の微生物規格基準で用いられる2階級サンプリングプランおよび3階級サンプリングプランについて統計学的見地から考察した。3.海外の寄生虫に係る食品の規格基準について、情報収集と解析を行った。4.サワガニに寄生するウェステルマン肺吸虫の冷凍耐性について検討した。
結果と考察
1.食品と病原体の組み合わせに対し、さらに国内における流通食品の汚染実態と食中毒発生に係る情報を整理することで、個々の食品について病原微生物情報を参照できる分類表を作成した。2.サンプリングプランは、同じ生産者リスクをもつ統計的仮説検定の中で消費者リスクを最小にするという意味で最適な検定方式になっていることを示した。3.CodexとEU、アメリカ合衆国において寄生虫に係る食品の規格基準が定められており、水産品に関しては、何れも冷凍が寄生虫に対する処理基準とされていた。4.サワガニを-18℃で100分間以上冷凍した後に摂食すれば、ウェステルマン肺吸虫の感染は防止できることを示した。
結論
微生物学的リスクを主眼においた、微生物規格・基準設定の対象としうる食品の分類表を提案した。この食品分類法、対象としうる病原体、統計学的手法も含む規格基準導入の基本的考え方を、別紙提案として整理した。食品汚染寄生虫に対しては冷凍が有効な感染防止策であることを示した。食品微生物規格基準を設定しようとする場合、事前の情報も必ずしも多いといえないことから、頻度主義の統計学の枠組みで行うのが妥当であると考察された。

公開日・更新日

公開日
2011-06-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
201033037Z