食品汚染カビ毒の実態調査ならびに生体毒性影響に関する研究

文献情報

文献番号
201033036A
報告書区分
総括
研究課題名
食品汚染カビ毒の実態調査ならびに生体毒性影響に関する研究
課題番号
H22-食品・一般-008
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
局 博一(東京大学 大学院農学生命科学研究科獣医学専攻)
研究分担者(所属機関)
  • 小西良子(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
  • 渋谷 淳(東京農工大学 農学研究院)
  • 佐藤敏彦(北里大学 医学部臨床研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
17,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
フザリウム属菌が産生するカビ毒であるT-2トキシン、HT-2トキシン、ゼアラレノン(ZEA)およびペニシリウム属菌が産生するシトリニン(CIT)の食品汚染実態と分析法の検討、これらのカビ毒の生体毒性評価ならびに日本人のカビ毒曝露量評価のためのモデル開発を行った。
研究方法
汚染実態調査では、市販食品19食品目183試料について3種のフザリウム毒素を、市販食品5食品目59試料についてシトリニンを測定した。毒性評価では、①T-2トキシンのラット心機能への影響をテレメトリー心電図記録、②T-2トキシン、HT-2トキシンの自然免疫機能に及ぼす影響をマウスマクロファージ(RAW264細胞)を用いて解析、③CITのマウスの全身影響および臓器影響を病理組織学的に解析。暴露量評価では、アフラトキシンM1を例にとって、牛乳、粉ミルクを介した日本人の曝露量の評価モデルを作成した。
結果と考察
汚染実態調査:T-2トキシン/HT-2トキシンは、国産・輸入麦類、コーングリッツなどから検出された。ZEAは国産・輸入麦類、コーングリッツなどに加え、雑穀米、小豆から検出された。CITはコーングリッツ16件体中1件から検出された。毒性評価試験:T-2トキシン0.1 mg/kg以上の皮下投与によって明瞭な不整脈が誘発されることが明らかになった。免疫毒性では、T-2トキシンは10 ng/mlから80 ng/mlで、HT-2トキシンでは1.0 ng/mlから8.0 ng/mlで IFN-βプロモーターレポーター活性の濃度依存的な抑制が明らかになった。また、CITでは、マウスへの0-30μMの10週間飲水投与で、一般状態において明らかな変化はなかったが、卵巣相対重量が30μMで有意な増加、子宮粘膜の発情期の組織像を示す個体が多い傾向が認められた。腎臓では尿細管上皮でのPCNA陽性細胞率がCIT投与の2群で有意な増加を示すことが明らかになった。暴露量評価:牛乳、粉ミルクを介したアフラトキシンM1暴露量を各年齢層ごとに算出した。
結論
今回調査を行った個々の毒素の食品汚染濃度レベルは低いものの、これらのカビ毒および他のカビ毒との共汚染の場合のリスクを考慮する必要がある。今回対象となったカビ毒の毒性が明らかになったことから、今後、基準値設定などに有用なより詳細なデータを集積する必要性がある。

公開日・更新日

公開日
2011-05-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
201033036Z