食品中残留農薬のリスク管理手法の精密化と国際化対応に関する研究

文献情報

文献番号
201033028A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中残留農薬のリスク管理手法の精密化と国際化対応に関する研究
課題番号
H21-食品・一般-015
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 保博(財団法人残留農薬研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 飯島和昭(財団法人残留農薬研究所)
  • 永山敏廣(東京都健康安全研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
残留農薬を含む食品の摂取に伴う健康影響リスクをより適切に管理する為、(1)農産物における日本と国際機関の残留基準適用部位・検査部位を比較整理し、国際的な基準に対応するに必要な方法(換算係数等)を検討する。また、インポートトレランス設定における暴露量評価を精密化する要因の情報をEPA等から収集し、適用性を検討する。(2)農産物中の残留農薬最大残留量を統計学的に推定する手法の導入が国際機関で検討されている。日本への導入に先立ち、我が国農業慣行に基づく作物残留試験データを収集し、残留基準値を設定する手法の比較検討を行う。また、食品分類の改定が国際機関で進行中であり、整合化に向けて情報を収集し整理する。(3)調理加工に伴って生じる農薬分解物の情報を収集、解析する他、生成物検索のためのモデル実験系を考案する。ケーススタディーを行い分解生成物を把握し、調理加工に係るリスク管理手法の指針案を提案する。
研究方法
(1)昨年度実施したりんご果実内の残留農薬の分布に関する調査を再試験した他、根菜類の葉と根の残留濃度に関し、根と葉の接続部の残留値が与える影響をかぶで試験した。(2)7農薬の2農産物における作物残留試験を毎年8県の試験地で2年間行い、各16例の残留データを得た。(3)試験条件は加工調理による農薬の加水分解に関するOECD指針を参考にした。
結果と考察
(1)仁果類における国際機関の方式(全果実)による残留濃度測定値は、国内方式(可食部)による測定値と同等から2倍であった。かぶの葉と根の接合部の扱いの影響は、葉と根部の残留農薬レベルの差が大きく影響した。これを踏まえ根菜類の分析部位を提案した。(2)農薬残留値の分布を特定の分布パターンに分類するには、更に多くの試験例数が必要と考えられた。予備的な解析では、分布パターンに依存しないOECD法はEUやNAFTAの手法よりもより妥当と示唆された。(3)加熱分解装置を試作した。OECD指針を参考にした湿式加熱条件でマラチオンを試験し、分解物2種をLC-TOF-MSで同定した。前年度の乾式加熱法の結果と比較し、加熱条件により生成物のパターンは異なると推測された。
結論
農産物の残留基準設定部位及び検査部位に関する国際基準と国内基準の相違に対応するための基礎情報が核果類と仁果類で得られた。残留基準の統計的設定法の検討に利用する国内残留データが収集された。調理加工に伴う加熱分解のモデル実験系の基礎ができた。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201033028Z