文献情報
文献番号
201033027A
報告書区分
総括
研究課題名
薬剤耐性食中毒菌に係る解析技術の開発及びサーベイランスシステムの高度化に関する研究
課題番号
H21-食品・一般-013
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 治雄(国立感染症研究所 国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
- 黒田 誠(国立感染症研究所 病原体ゲノム解析研究センター)
- 秋庭 正人((独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所(安全性研究チーム))
- 五十君 靜信(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部第一室)
- 浅井 鉄夫(農水省動物医薬品検査所 検査室)
- 甲斐 明美(東京都健康安全研究センター 微生物部食品微生物研究科)
- 倉園 貴至(埼玉県衛生研究所 臨床微生物担当)
- 泉谷 秀昌(国立感染症研究所 細菌第一部)
- 田口 真澄(大阪府立公衆衛生研究所 感染症部細菌課)
- 田村 豊(酪農学園大学 獣医公衆衛生学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
20,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
サルモネラ、カンピロバクターの多剤耐性化が我が国ばかりでなく世界的にも進んできている。本研究においては、家畜、食肉および食中毒患者から分離されるサルモネラ、カンピロバクターの薬剤耐性菌の現状及び動向について全国レベルの調査を行う。さらに得られた耐性菌のゲノムレベルの解析を行い、家畜―食品―ヒト間の伝播の流れを科学的に解明する。
研究方法
家畜,食品及び患者由来のサルモネラ,カンピロバクターの分離菌株の耐性型、遺伝型の経時変化を調査し、新たに出現した耐性菌の全ゲノム配列を決定する。それにより耐性菌がどのように進化してきているのかを明らかにする。
結果と考察
1)2010年、家畜由来サルモネラの薬剤感受性状況は全畜種で、ERFX耐性は認められず、CEZ耐性は、鶏由来Infantis(1株)で認められ、CMY-2型産生株であった。食品からは鶏肉からの分離が多く血清型はInfantis、CPDX耐性率は2010年には24.6%で近年増加傾向にあった。患者由来では、S.Enteritidisが多くCTX耐性が1株分離された。CPDX耐性のS. Infantis が保菌者由来株で2株あり、鶏肉由来株との比較が必要であると考えられた。フルオロキノロン耐性株は検出されなかった。2)2010年、国産鶏肉から分離されたC. jejuniの36.0%がフルオロキノロン耐性であった。患者由来株においてもC. jejuni の33.3%がフルオロキノロン耐性であった。EM耐性率は,ここ数年C. jejuni の0.5%-数%で横ばいであった。3)S. Typhimurium T000240株のゲノム解読から、薬剤耐性アイランドの存在を明らかにした。特徴的なIS配列を利用し、薬剤耐性アイランドに種々の耐性遺伝子群が挿入されてきた経緯が分かった。多剤耐性化の背景には今まで言われてきているインテグロンの関与が強いことがはっきりしてきた。
結論
家畜に分布するサルモネラとカンピロバクターの薬剤感受性状況を調査した結果、医療上重要なセファロスポリンに対する耐性が増加してきていた。全ゲノム配列の解析の結果、耐性遺伝子獲得にIS配列やインテグロンの関与が明らかになった。
公開日・更新日
公開日
2011-05-18
更新日
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