食品中成分から生成されるアクリルアミドのリスク管理対策に関する研究

文献情報

文献番号
201033026A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中成分から生成されるアクリルアミドのリスク管理対策に関する研究
課題番号
H21-食品・一般-012
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
今井 俊夫(独立行政法人国立がん研究センター 研究所 動物実験支援施設)
研究分担者(所属機関)
  • 梅村 隆志(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
  • 本間 正充(国立医薬品食品衛生研究所 変異遺伝部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
13,740,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
加工食品に含まれるアクリルアミド(AA)は遺伝毒性発がん物質であり、そのヒトへのリスクが懸念されている。AAの発がん機序として、遺伝毒性のほか内分泌環境の変化や酸化的ストレスが関与している可能性が指摘され、疫学的にも食品からのAA摂取量と乳がん及び子宮内膜がんとの関連性を示す報告があるが、詳細は不明である。また、AAの職業暴露と膵がんとの関連性が否定できないとする報告があるが、ラットでは膵管がんの発生はみられない。そこで本研究では、(1) 膵管発がん感受性を示すハムスターと非感受性のラットにおけるAAの発がん標的臓器及び内分泌環境に及ぼす影響の種差 (2) AAによる酸化的DNA損傷の発がんへの関与 (3) AAの遺伝毒性の発現機序について検討することにより、AAの発がん機序とヒトへの外挿性を明らかにし、リスク管理対策に寄与することを目的とする。
研究方法
(1) ハムスターの78週間発がん実験の最終剖検を終了し、ラットの1年間投与実験では血清生化学検査、細胞動態学的検査を行い、2年間投与実験では切迫屠殺例について乳腺腫瘍の遺伝子変異/蛋白発現解析を開始した。(2) gpt deltaマウスを用いた 4週間投与実験を行い、肺、肝臓、腎臓につきgpt assay及び Spi- assayによるin vivo 変異原性を検索した。(3) 4、6、10週齢のラットにAAを7日間強制経口投与し、精巣におけるコメット試験及びDNA付加体の定量を行った。
結果と考察
(1) ハムスターの発がん実験では、肉眼的に前胃結節の発生頻度が増加した。ラットを用いた実験では、乳腺組織におけるERKの活性化を示す所見を得た。(2) 肺及び肝臓にて突然変異頻度の上昇がみられ、発がん機序として遺伝毒性メカニズムの関与が示された。一方、8-OHdGレベルの変化とは一致しなかったことから酸化的DNA損傷は関与しないことが示唆された。(3) 精巣においてコメットは顕著に増加したが週齢差はみられず、DNA付加体量は幼若ラットで高値を示したことから、ラット精巣のAAに対する感受性は幼若動物で高いことが示された。
結論
(1) ハムスターの発がん実験では病理組織検査を行い、ラットについても解析を継続する。(2) 酸化ストレスへの防御系が弱いと考えられる幼若期暴露による影響を検討する。(3)精巣に対する影響の種差を検討するため、マウスを用いた検討を行う。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201033026Z