食品添加物等における遺伝毒性・発がん性の短期包括的試験法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201033024A
報告書区分
総括
研究課題名
食品添加物等における遺伝毒性・発がん性の短期包括的試験法の開発に関する研究
課題番号
H21-食品・一般-010
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
西川 秋佳(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 梅村 隆志(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
  • 小川久美子(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
香料の中にはその化学構造中に発がん性を示唆する置換基をもつ物質が含まれ、それら香料の発がん性の有無を確認し、また膨大な数の香料の安全性データを迅速かつ効率的に収集する必要があるため、レポーター遺伝子導入動物を用いた短期包括的試験法により、遺伝毒性・発がん性を検索した。
研究方法
実験1:gpt deltaマウスを用いて、肺発がん性の報告がある1-methylnaphthaleneの90日間反復投与試験を行った。実験2:肝発がん性の報告があるestragoleをF344ラットに4週間投与し、網羅的遺伝子発現解析を実施した。実験3:香料骨格の一つであるfuranは、gpt deltaラットの前がん病変GST-P陽性肝細胞巣を増加させたが、in vivo遺伝毒性は陰性であった。しかし、胆管線維症が肝尾状葉特異的に認められ、furanの遺伝毒性については肝臓葉別の解析が必要と考えられたことから、gpt deltaラットにfuranを4ないし8週間強制経口投与し、尾状葉における変異頻度を解析した。実験4:肝発がん性の報告があるmethyleugenolはその発がん機序の詳細が明らかでないため、gpt deltaラットを用いた90日間反復投与毒性試験を行った。
結果と考察
実験1:1-methylnaphthaleneは遺伝毒性を示さないことが明らかとなった。実験2:estragole投与群でGST-P陽性肝細胞巣が有意に増加し、cDNAマイクロアレイ解析により発現増加した1635個の遺伝子と発現低下した6896個の遺伝子が抽出され、発がん機序には遺伝毒性に加えて細胞増殖やアポトーシスの関与が示された。実験3:尾状葉においてもfuran誘発肝発がん機序に遺伝毒性メカニズムは関与していないことが示唆された。実験4:雌雄ともにmethyleugenol投与群でGST-P陽性肝細胞巣が増加した。今後、肝臓におけるgptならびにred/gam変異頻度の解析を行い、methyleugenolのin vivo変異原性を明らかにする。
結論
1-methylnaphthalene及びfuranは発がん標的臓器に遺伝毒性を示さないことが明らかとなった。今後、estragole及びmethyleugenolの発がん機序を追究する。

公開日・更新日

公開日
2011-05-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201033024Z