生体試料バンクを有効活用した食の安全と安心の基盤形成

文献情報

文献番号
201033017A
報告書区分
総括
研究課題名
生体試料バンクを有効活用した食の安全と安心の基盤形成
課題番号
H21-食品・一般-003
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
小泉 昭夫(京都大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 原田 浩二(京都大学 医学研究科)
  • 小林 果(京都大学 医学研究科)
  • 原口 浩一(第一薬科大学 薬学部)
  • 高菅 卓三(島津テクノリサーチ 分析本部調査研究開発部)
  • 渡辺 孝男(東北文教大学 人間科学部)
  • 中塚 晴夫(宮城大学 看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
28,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
適切なリスク管理には、主な生産国および我が国でランダムサンプリングによる食事からの曝露評価の情報も活用することが安全である。また特殊な事例として乳児に関しては、母乳を通じた間接的な曝露評価を行うことも必要になる。我々の研究目的は、生体試料バンクを有効活用し、現行のポジティブリスト制度を補完し、食の安全と安心の基盤を強化することである。
研究方法
1.DDT及び他のPOPsの分析:2008年度に採取済みの国内・国外の食事・母乳を測定する。また、2009年度に採取された食事・母乳の分析も順次行い完了する。加えて、2005年度に整備したバンクの90年代の保存試料の分析を開始する。他の媒体からの曝露もシミュレーションで検討し、食品の寄与を評価する。
2.ポジティブリスト登録化学物質・懸念化学物質の分析:H21年度に確立された方法を用いて、2008年度に採取済みの国内・国外の食事・母乳で測定する。また、生体試料バンクの保存食事試料および母乳試料の分析を開始する。
3. 市民シンポジウムでは、国内および中韓のNPOおよび専門家に呼びかける。
結果と考察
1.曝露評価と生物学的モニタリングの手法の確立:ストックホルム条約に新規に追加された汚染物質の分析法の検討を食事、母乳について行った。有機フッ素化合物の同族体について適用可能な分析法を開発した。
2.汚染が懸念される物質への対応:海外で収集された陰膳食事試料を用いて、各国の化学物質曝露のパターンを比較評価した。調理用油を中国市場で収集し、分析を行い、食餌試料中の大半の汚染源であることを確認した。
3.国際協力とリスクコミュニケーション:今年度は市民参加の国際協力とリスクコミュニケーションに関わるシンポジウムを開催し、一般市民および日中韓の専門家と情報交換を行った。
4.サンプルバンクの試料の系統的継続的な収集:過去の438件の血液試料、現在の油脂、乳製品試料74検体、血液試料50検体、母乳試料162検体を採取した。
結論
ヒト生体試料バンクの拡充を行い、提供可能な試料を増加させた。バンク試料の運用は円滑に行われ、汚染物質への曝露モニタリングを国際的、経年的に実施できることが示された。試料バンクの試料測定で時に高濃度曝露が見出され、また新規物質も検出された。今後、実態解明、専門家による検討が必要である。

公開日・更新日

公開日
2011-05-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
201033017Z