文献情報
文献番号
201033010A
報告書区分
総括
研究課題名
食品の規格基準に係る測定値に伴う不確かさに関する研究
課題番号
H20-食品・一般-011
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
松岡 英明(東京農工大学 大学院工学研究院)
研究分担者(所属機関)
- 松田りえ子(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
- 渡邉敬浩(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
- 工藤由起子(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
11,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
Codexのガイドライン(CAC/GL54 2004)に基づく要請に応えるために、理化学、生化学、微生物学の各分野における具体的な試験法に即して、不確かさの推定法や、不確かさに影響を与える要因分析などに関して実験研究、及び調査研究を行うことを目的としている。それによって、将来ガイドライン等を提示するための基礎資料を作成する。また、不確かさに関する研究やガイドライン策定等に関する国際動向の継続的調査を推進するために、産官学を横断的に結ぶ研究者・技術者ネットワークの構築を目指す。
研究方法
理化学では、全ての理化学分析の共通ステップである、検量線による濃度推定に伴う不確かさの評価を取り上げ、全体の不確かさへの寄与、検量線に伴う不確かさの軽減について考察した。生化学では、卵、牛乳およびそれら由来のタンパク質を添加したモデル加工食品を用いて、アレルギー誘発物質の定量を目的としたELISA法について、不確かさ推定と寄与要因の検討を行った。微生物では、昨年度同様、「単一試験所の繰返し試験データに基づく不確かさの推定」手法を用いて、大腸菌群数の測定値に伴う不確かさを推定した。調査研究では、2010年度に発表された関連論文の解析と共に、実験研究と調査研究の成果を融合するためのシンポジウム等を行った。
結果と考察
理化学では、吸光度法によるシアン化合物の分析、ICP-MS法による鉛の分析、などにおいて、検量線の存在範囲の正しい予想、その検量線による濃度逆推定に伴う不確かさを推定した。生化学では、2種類のELISAキットを用いた結果、卵由来のタンパク質を分析対象とする場合、抽出時間の長さが測定値間の有意差を生じる要因になり得ること、などを示した。微生物では、不特定多数の細菌を含む鶏挽き肉試料における不確かさは、一般細菌数の不確かさの約4倍の値であった。調査研究では、最新の文献情報、および、シンポジストから得た最新情報などにより、混沌としていた不確かさ推定の問題の見通しが良くなった。
結論
実験研究では、理化学、生化学、微生物いずれの分野でも、拡張不確かさの推定事例を示したが、食品の種類、試料の処理法、などが異なると結果が異なるため、各試験法固有の値として確定することはできなかった。調査研究では、微生物学的試験法が直面している重点課題は、統計学分野においても国際的に重要課題になっている、との認識が得られた。
公開日・更新日
公開日
2011-05-27
更新日
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