文献情報
文献番号
201033006A
報告書区分
総括
研究課題名
検査におけるサンプリング計画並びに手順のハーモナイゼーションに関する研究
課題番号
H20-食品・一般-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
渡邉 敬浩(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
研究分担者(所属機関)
- 塚越 芳樹(農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所)
- 松田 りえ子(国立医薬品食品衛生研究所 食品部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
21,660,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
分析値に適切な科学的根拠を与えるサンプリング計画及び手順の確立と標準化及び、サンプリングを考慮した分析値運用法の検討を目的に4分担課題を実施した。
研究方法
課題1)国内法及び米国法等に関連したサンプリング計画の収集・整理、統計学的な性能の解析。課題2)食品衛生法及び関連通知文書等の収集・整理及びサンプリングとの関連に関する考察。課題3)食品添加物及びデオキシニバレノール(DON)濃度の分析及びそれら実測値に基づく不確かさ推定方法の検討。課題4)DON実測濃度に基づく非ランダムサンプリングのモンテカルロシミュレーション。
結果と考察
課題1)ロットサイズとサンプルサイズとの相関は、一般にべき乗型の関数で説明可能であることを明らかにした。課題2)食品衛生法に規定される検査とは、法第25条に規定されるとおり、法第11条及び法第18条に定められる基準もしくは成分規格への適合判定を一義的な目的としており、適正なサンプリングを前提としていることを確認した。課題3)食品添加物濃度のサンプリングの不確かさは、サンプルサイズが3の場合でも7.4-7.6%(RSD)と推定され、十分な確度で判定可能な分析結果が得られることが示唆された。 穀類中のDON濃度については、11.2-18.1% (サンプルサイズ3)と推定された。ただし実際の分布型の推定が不可欠であると考えられた。課題4)濃度分布が均一であれば、非ランダムサンプリングとランダムサンプリングの結果はほぼ同様であった。一方、濃度分布が不均一な場合には、サンプル平均値の標準偏差及び95%区間の減少が非ランダムサンプリングで小さかった。
結論
ロットサイズに応じサンプルサイズを変動させる場合には、べき乗型の相関を維持することがサンプリング計画の性能を国際水準に整合させるために必要であった。適正なサンプリング計画の策定と実行は、食品衛生法に基づく検査の前提であり、不可能な場合には検査に定められた措置ではなく、法の理念に照らし合理的に説明可能な行為を措置とすることについても検討する必要がある。分析結果のばらつきから母分散を仮定し、サンプリングの不確かさを推定する方法を確立した。また、推定される不確かさは母集団と対象物質との組み合わせにより大きく異なる一方で、それらの類型化の可能性が示唆された。不均一分布からのサンプリングでは、ランダムさが保証されなければサンプルを多数採取する効果は得られないことが明らかとなった。
公開日・更新日
公開日
2011-05-23
更新日
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