文献情報
文献番号
201033004A
報告書区分
総括
研究課題名
検査機関の信頼性確保に関する研究
課題番号
H20-食品・一般-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
小島 幸一(財団法人食品薬品安全センター 秦野研究所)
研究分担者(所属機関)
- 大島赴夫(財団法人食品薬品安全センター 秦野研究所)
- 尾花裕孝(大阪府立公衆衛生研究所)
- 斉藤貢一(星薬科大学)
- 村山三徳(社団法人日本食品衛生協会 食品衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
34,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
食品の安全性確保のために精度管理システムの整備ならびに精度管理のための適正試料の作製を検討し、食品衛生検査機関から提出される検査成績の信頼性確保を一層充実させることを目的とした。
研究方法
食品中の微量農薬分析では、冷凍餃子に5種類の農薬を添加することにより調査試料を作製し、8機関を対象に外部精度管理調査を行い、機関間z-スコアおよび機関内z-スコアで評価した。残留有害物質では、めんつゆにシクロピアゾン酸(CPA)産生菌を接種した後、CPA標準品を添加し、標準マテリアルを作製した。農薬標準品では、各種保存温度での長期安定性についてGC-MSにより測定した。適正試料の作製は、理化学では、豚肉中のサルファ剤の均一性、微生物では基材中でのセレウス菌およびビブリオ属菌の安定性について確認した。アレルギー検査では乳添加試料を用いた精度管理調査を、組換えDNA食品では精度管理で用いた抽出法によるDNA収量等のばらつきについて原因を検討した。
結果と考察
食品中の微量農薬分析では、誤検出機関は認められず、一部の機関を除き報告値は添加理論値に近似していた。また、測定機器も適切に維持管理されているものと考えられた。残留有害物質では、作製した標準マテリアルを用いた精度管理調査を行い、良好な結果が得られた。農薬標準品では、-20および4℃保存では安定であったが、60℃、14ヶ月の保存で41農薬に10%以上の減少を認めた。適正試料作製の理化学では、豚肉(ヒレ)を用いることにより10種のサルファ剤で良好な回収率が得られ、かつ均一な試料を作製することができた。微生物ではセレウス菌において米飯基材を用い、15%食塩含有芽胞液を使用することにより安定した添加菌の回収が可能となった。ビブリオ属菌ではこうや豆腐を用いることで長期保存が可能であった。乳添加試料の精度管理調査では、1機関で管理限界外の報告値があったが、これはマイクロプレートの洗浄方法に問題があった可能性が考えられた。さらに、えび・かに添加試料を作製・検討し、均一性が担保された。組換えDNA食品検査では、抽出方法によりDNAの収量および質に相違が認められた。
結論
概ね良好に進行したが、適正試料の作製は実用化に向けた検討がさらに継続的に必要であると考えられた。また、微量農薬分析においては加工食品を対象とした場合でも技術蓄積によって良好な結果が得られるものと考えられた。
公開日・更新日
公開日
2011-05-27
更新日
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