じん肺健康診断等におけるデジタル画像の標準化ならびにモニター診断および比較読影方法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201032018A
報告書区分
総括
研究課題名
じん肺健康診断等におけるデジタル画像の標準化ならびにモニター診断および比較読影方法の確立に関する研究
課題番号
H22-労働・指定-005
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
村田 喜代史(国立大学法人滋賀医科大学 医学部放射線医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 相澤好治(北里大学 医学部)
  • 岸本卓巳(労働者健康福祉機構岡山病院 内科)
  • 坂谷光則(国立病院機構近畿中央胸部疾患センター 内科)
  • 日下幸則(福井大学 医学部)
  • 坂井修二(東京女子医科大学 医学部)
  • 志田寿夫(なし)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 じん肺健康診断における管理区分の決定には、胸部エックス線写真が重要な役割を果たしているが、近年の技術的進歩によって、従来のアナログ画像のフィルム診断からCRやDRといったデジタル画像によるモニター診断に代わりつつある。従って、じん肺健康診断においても、デジタル時代に対応したじん肺診査システムの構築が喫緊の課題となっている。本研究は、これらの課題を解決するために、デジタルじん肺標準画像データの作成とともに、これを用いたデジタルじん肺健康診断システムの確立をめざすものである。
研究方法
 これまでの厚生労働科学研究で集積された1209例のじん肺症例から、何段階もの専門医による検討会を通じて、標準写真候補の絞り込みを行った。この過程で、日本における多くのじん肺関連医師のコンセンサスを得るために、40名の地方じん肺診査医による標準写真候補83例のエックス線病型に関する読影実験を行った。また、ダイナミックレンジ圧縮処理を付加することによって心臓縦隔陰影の描出能が改善したデジタルじん肺条件と肺癌学会で推奨されるデジタル肺癌検診条件の比較検証を24例のじん肺症例で行った。
結果と考察
 最終的に22例の最終候補を選択し、デジタルじん肺標準写真を完成するとともに、DVDとして公表した。地方じん肺診査医による読影実験では、12階尺度では、判定が3段階から6段階に拡がるばらつきがみられたが、4階尺度で考えると、各グループでの全体としての判定一致率は、0型88%、粒状影1型76%、粒状影2型74%、粒状影3型83%、不整形陰影1型70%、不整形陰影2型73%、不整形陰影3型59%、大陰影92%であった。この結果から、不整形陰影で読影者の判定のばらつきがやや大きいものの、標準写真候補として多くの症例が適切であることが確認された。また、じん肺条件と肺癌検診条件の比較検討では、336判定中(24症例X14読影者)、12階尺度も同じと考えた判定が89%、12階尺度は異なるが4階尺度は同じと判定したものが11%であり、4階尺度まで異なると判定したものは無かった。従って、現状のじん肺条件と肺癌検診条件のどちらを用いても、じん肺診査上、大きな問題点が無いことが示された。
結論
 デジタルじん肺標準画像データを用い、DICOM part14に準拠した医療機器を用いることにより、デジタル時代となっても対応できるようなじん肺診査体制が実現したと考えられる。


公開日・更新日

公開日
2011-09-06
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201032018C

収支報告書

文献番号
201032018Z