医師等による就業上の措置に関する意見のあり方等についての調査研究

文献情報

文献番号
201032016A
報告書区分
総括
研究課題名
医師等による就業上の措置に関する意見のあり方等についての調査研究
課題番号
H22-労働・一般-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
森 晃爾(産業医科大学 産業医実務研修センター)
研究分担者(所属機関)
  • 大久保 靖司(東京大学 環境安全本部)
  • 安部 治彦(産業医科大学 医学部)
  • 藤野 善久(産業医科大学 医学部)
  • 茅嶋 康太郎(産業医科大学 産業医実務研修センター)
  • 立石 清一郎(産業医科大学 産業医実務研修センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
5,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
一般定期健康診断に基づき事業者が適切な事後措置を実施できるよう、医師等による就業上の措置に関する意見を適切に行なうための(1)手順、(2)エビデンスに基づく参考基準、(3)事業場や労働者の実情にあった運用等に関する一定の指針を示すことを目的とする。
研究方法
専属産業医、嘱託産業医、労働衛生機関医が行う就業上の措置に関する意見の実態調査、JR医学適性検査基準の策定プロセスの調査、海外の職務適性検査の実施プロセスおよび判断基準に関する文献調査によって、国内外での事後措置の実態を明らかにした。また、健康状態と就業の関係について安全配慮義務を履行する上で重要となる心臓突然死および失神に関する系統的レビュー、国内外の臨床分野の学会ガイドラインのうち就業に関わる情報を含むガイドラインの収集を行ない、既存のエビデンスの整理について検討した。
結果と考察
産業保健を専門とする産業医であっても明確な数値基準を持っておらず、安全への配慮が重要な業務についても数値基準は限られており、海外においても業務特性を理解した医師による判定に委ねられていたことより、数値基準ではなく、エビデンスと医師の専門性に基づく総合的な判定を基本とすることが妥当と考えられた。またそのためには、整理されたエビデンス情報の提供が不可欠であるが、心臓突然死および失神について、確率を含めた予後についてエビデンスを整理でき、今後更に対象を拡大していくことが必要と考えられた。国内外における臨床分野のガイドラインについて就労措置が記載されたものは少なく、今後臨床ガイドラインに就業上の留意点について含まれるように働きかけていくことが重要と考えられた。事業措置は小規模事業場と労働衛生機関の間の健診契約には含まれず、実施されていなかった。労働衛生機関の医師が、小規模事業場の事業者に対して就業上の意見を述べるために必要な就業情報等の情報収集のあり方やコスト負担について検討していく必要があると考えられた。
結論
具体的な就業状況に関する情報の収集と判定に必要な医学的な追加情報の収集などを経た上で、医師等による就業上の措置に関する意見を含む事後措置が適切にできるための具体的なガイドを策定することが有用であり、それを支援するためのエビデンス集の作成と教育研修プログラムの開発が必要である。また、小規模事業場に対して、労働衛生機関が有効に活用されるための方策の検討が必要である。

公開日・更新日

公開日
2011-09-06
更新日
-

収支報告書

文献番号
201032016Z