職域における新型インフルエンザ対策の定着促進に関する研究

文献情報

文献番号
201032010A
報告書区分
総括
研究課題名
職域における新型インフルエンザ対策の定着促進に関する研究
課題番号
H21-労働・一般-003
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 謙(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 今井 鉄平(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室)
  • 東 敏昭(産業医科大学 産業生態科学研究所 作業病態学研究室)
  • 森 晃爾(産業医科大学 産業医実務研修センター)
  • Park Eun-Kee(パク ユンキ)(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室)
  • Vanya Delgermaa(ヴァンヤ デルジェルマ)(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室)
  • 上原 正道(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室)
  • 和田 耕治(北里大学 医学部衛生学公衆衛生学)
  • 森兼 啓太(山形大学 医学部付属病院検査部)
  • 丸山 崇(産業医科大学 産業医実務研修センター)
  • 西埜植 規秀(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室)
  • 宮村 佳孝(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成21年春に発生した新型インフルエンザ(A/H1N1)の流行への対応を通じて、大企業を中心に各企業で対策の見直しが行われたことが考えられるが、見直しまでの一連の過程でサプライチェーン対策の充実等、種々の課題が生じたことが予想される。また、鳥由来の新たな新型インフルエンザの世界的流行に備え、各企業で感染予防や事業継続に対する更に周到な準備を行う必要があるが、特に中小企業では十分な体制の構築は困難であることが予想される。そこで、大企業を中心に行われた対策の見直し、中小企業における対策、サプライチェーン対策の現状や課題を評価することを目的に各種調査を実施した。
研究方法
大企業の調査では、①平成21年度にインタビュー調査を行った大企業18社を対象に質問票による追跡調査を実施した。中小企業の調査では、②中小規模の企業16社を対象としたインタビュー調査を実施した。サプライチェーン対策では、③大企業4社とそのサプライチェーンを構成する中小企業6社を対象としたインタビュー調査をそれぞれ実施した。また、文献調査として、④2009年4月以降に国内外で実施された各種調査をインターネット上などから入手しレビューを行った。
結果と考察
①大企業の多くで、病原性に応じた対応が臨機応変に取れるように、BCPの改善や備蓄品の管理方式の見直しを行っていた。ただし、対策が迅速に行われるためには病原性に関する情報が速やかに提供される必要があり、国レベルの関与の重要性が示唆された。②中小企業においては、明確な社内規定がない場合でも、経営層を中心に柔軟で迅速な対応が可能であることが分かった。ただし、中小企業単独での対策実施は難しく、業界団体等の外部機関からの情報が、タイムリーに経営者に提供される必要性が示唆された。③中小企業にとっては取引先の大企業が重要な情報発信源となりうるが、大企業によるサプライチェーン対策は進んでいないことが分かった。④文献調査では、企業のトップや社会の意識を高める施策の実施、企業が対策を更に推進するために使用できる簡便なツールなどの開発がそれぞれ課題として浮上した。
結論
感染症流行の際に病原性に応じた柔軟な対応を各企業で行うべく、今回の新型インフルエンザ流行を機に浮上した国・関係団体・企業の各レベルにおける課題の速やかな修正が望まれる。

公開日・更新日

公開日
2011-09-06
更新日
-

収支報告書

文献番号
201032010Z