労働者のメンタルヘルス不調の第一次予防の浸透手法に関する調査研究

文献情報

文献番号
201032009A
報告書区分
総括
研究課題名
労働者のメンタルヘルス不調の第一次予防の浸透手法に関する調査研究
課題番号
H21-労働・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
川上 憲人(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 下光輝一(東京医科大学)
  • 堤 明純(産業医科大学 産業医実務研修センター)
  • 原谷隆史((独)労働安全衛生総合研究所)
  • 吉川 徹((財)労働科学研究所研究部)
  • 島津明人(東京大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、①労働者のメンタルヘルス不調の第一次予防対策について科学的根拠に基づくガイドラインを作成し、②新しい職業性ストレス調査票を開発し、③労使、産業保健関係者によるステークホルダー会議により対策の推進枠組みを確立し、④海外の推進施策を収集・整理し、わが国における労働者のメンタルヘルス不調の第一次予防を中(小)規模事業場も含めて浸透させるツールを提供し、行政施策を提言することである。
研究方法
既存の研究成果を収集しEBMガイドラインを完成した。新職業性ストレス簡易調査票の候補尺度の信頼性・妥当性、優先順位に関する意見調査、全国調査による標準値の算出を行った。③関係者(ステークホルダー)会議を2回開催し、わが国における労働者のメンタルヘルス不調の第一次予防の推進枠組みの新しい目標となる「健康“いきいき”職場」の定義と条件について討議した。デンマークの職場環境査察のその後の経過、心理社会的リスクマネジメント欧州枠組み(PRIMA-EF)、英国国立医療技術評価機構(NICE)の公衆衛生ガイダンス No. 22「生産的で健康な職場環境による心の健康の推進:雇用者向けガイダンス」、米国心理学会の健康職場プログラムついて情報収集した。
結果と考察
労働者個人向けストレス対策、管理監督者教育、職場環境等の評価と改善の3つの対策について、専門家および現場の実践家の意見を収集して科学的根拠に基づくEBMガイドラインが完成した。新職業性ストレス簡易調査票の候補尺度は、いずれも内的整合性による信頼性が高く、また因子分析により因子的妥当性が確認できた。産業保健スタッフ等による意見調査では尺度の優先順位が明らかとなった。全国調査を実施し、新職業性ストレス簡易調査票の候補尺度の男女別平均値を算出した。ステークホルダー会議では、新しい枠組みでメンタルヘルスの目標となる「健康“いきいき”職場」の定義については、従業員個人がいきいきしていること、②それを支える組織理念がある、③健康が(最低限)守られていることであると要約した。海外事例から、労働者のメンタルヘルスを実現する企業・職場の条件、その普及・推進方策について情報が得られた。
結論
労働者のメンタルヘルス不調の第一次予防の浸透手法のためのEBMガイドラインが完成し、新職業性ストレス簡易調査票が開発された。またわが国の職場のメンタルヘルスの第一次予防の目標となる「健康“いきいき”職場」の概念が明確になった。

公開日・更新日

公開日
2011-09-06
更新日
-

収支報告書

文献番号
201032009Z