労働者のメンタルヘルス不調の予防と早期支援・介入のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201032005A
報告書区分
総括
研究課題名
労働者のメンタルヘルス不調の予防と早期支援・介入のあり方に関する研究
課題番号
H20-労働・一般-006
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
横山 和仁(順天堂大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡田 元宏(三重大学大学院 医学系研究科)
  • 竹村 洋典(三重大学大学院 医学系研究科)
  • 原谷 隆史(独立行政法人労働安全衛生総合研究所)
  • 堤 明純(産業医科大学 産業医実務研修センター)
  • 近藤 信子(四日市看護医療大学 精神看護学)
  • 井奈波 良一(岐阜大学大学院 医学系研究科)
  • 浦川 加代子(三重大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
7,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
労働者のメンタルヘルス不調を予防し、かつ早期に支援・介入するために事業所内外の関係者が連携した包括的な枠組みを作り上げるために、職域のメンタルヘルスケアの弱点とグッドプラクティス事例の把握の両面を行い、有効な予防・早期介入支援策を明らかにし、関係者の資質向上のための教育プログラムや教材を開発することを目的とした。
研究方法
3年計画の最終年度として、昨年度の実態調査を踏まえ、問題をさらに焦点化し、より詳細な実態調査を行った。また教育プログラムや教材開発に向けての資料やデータ収集と作成を行った。
結果と考察
1.メンタルヘルスケアの実態とグッドプラクティスを含む具体的な事例の分析を行い、事業者向け教育資料(原案)を作成し関係各者から意見を集めた
2.グッドプラクティスの1事例として、三重県教育委員会のメンタルヘルスケアシステムを調査した。
3.非精神科医に対するメンタルヘスル関連の講習会が十分な効果があるか否かを調査した結果、ある程度の効果があることが示唆された。しかし限定的であることから、能動的なメンタルヘルス不調のケアにかかわる学習方法を開発望まれた。
4.外部相談機関に関する情報を収集して、予防と早期支援・介入における外部相談機関の職場への支援の現状を把握し、あり方を検討した結果、就業上の措置が必要な患者だけではなく、軽い問題や不調を抱えた労働者を対象としたサービスを幅広く提供することが望まれた。
5.産業医が職域におけるメンタルヘルス不調の発現を早期に把握し介入するために必要な知識・技術を高めることを目的とした以下の教材を開発し,実習内容をワークブックとしてまとめた。
6.労働者のメンタルヘルス不調予防に対する早期支援の内容を明らかにする目的で、管理監督者が事業所、産業医、医療機関に対してどのような早期支援を望むかが明らかとなった。
7.産業看護職の立場から早期介入・支援を推進していくために、産業看護職自身の専門的知識やスキルに関する課題、現状やニーズにあった労働者への教育研修の方策に関する課題を明らかにした。
8.主観的健康観が良い人は、ストレス対処能力が高く精神的に健康であることが明らかになった。
結論
最終年度として、13種類の教育資料などを作成することができた。

公開日・更新日

公開日
2011-09-06
更新日
-

文献情報

文献番号
201032005B
報告書区分
総合
研究課題名
労働者のメンタルヘルス不調の予防と早期支援・介入のあり方に関する研究
課題番号
H20-労働・一般-006
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
横山 和仁(順天堂大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡田 元宏(三重大学大学院 医学系研究科)
  • 竹村 洋典(三重大学大学院 医学系研究科)
  • 原谷 隆史(独立行政法人労働安全衛生総合研究所)
  • 堤 明純(産業医科大学 産業医実務研修センター)
  • 井奈波 良一(岐阜大学大学院 医学系研究科)
  • 近藤 信子(四日市看護医療大学 精神看護学)
  • 浦川 加代子(三重大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
労働者のメンタルヘルス不調を予防し、かつ早期に支援・介入するための、事業所内外の関係者が連携した包括的な枠組みを作り上げる必要がある。このため、職域のメンタルヘルスケアの弱点とグッドプラクティス事例の把握の両面を行い、有効な予防・早期介入支援策を明らかにすると共に、関係者の資質向上のための教育プログラムや教材を開発することを目的とした。

研究方法
1.種々の職域におけるメンタルヘルス不調例について、早期支援の在り方および予防の可能性とその内容について調査した。
2.精神科医および一般医における診療や職場復帰支援プログラムへの関わりの実態とこれらのニーズをを調査した。
3.EAP等の外部相談機関の職場メンタルヘルス不調への関わり、特に、予防と早期支援・介入におけるこれらの機関の役割を検討した。
4.グッドプラクティス事例を収集し、その優れていた点を検討した。
結果と考察
種々の調査結果より職域におけるメンタルヘルス不調者の現状や対策について明らかになり、また労働者自身や管理監督者の上司、ライン、事業者や保健スタッフに対するニーズなども明らかになった。非精神科医がメンタルヘルス不調者の対応がうまくいかない理由として、知識、時間や報酬などの問題が明らかになった。また、以前から行われているメンタルヘルスの講演会等の研修は限定的ではあるが効果があることも明らかになった。
結論
労働者のメンタルヘルス不調の予防と早期支援・介入のあり方に関する調査および研究を踏まえて、非医療者向けおよび医療者向けの計13種類の成果物が作成された。今後の活用が期待される。

公開日・更新日

公開日
2011-09-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-03-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201032005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
1)労働者のメンタルヘルス不調の早期発見には、気分の不調の慎重な判断および対処が鍵になり、また早期支援・介入には経済的支援と相談、予防には働きやすい環境が重要であることが示された。2)健康な生活習慣、仕事負担の考慮、家族や上司・同僚のサポ-ト、およびストレス対処能力が精神的健康に影響すること、また、健康な生活習慣がストレス対処能力を向上させることが示唆された。3)いわゆる現代型抑うつ症候群は、従来型うつ病より治療反応性や復職率、休職期間、あるいは再休職率の点から難治性であることが確認された。
臨床的観点からの成果
1)非精神科医がメンタルヘスル不調に対処できない理由として、知識と時間の欠如、見合う収入が得られないなどが示された。2)産業看護職が「メンタルヘルス不調者の早期アセスメント法」「メンタルヘルス不調者への対応」、「労働者への教育・研修のなどの知識やスキル」、また、これらのためのトレーニングやスーパービジョンなどを必要としていることがわかった。3)管理監督者および一般労働者が必要と考えている研修の内容は、人間関係、コミュニケーション、傾聴の技術、プライバシーの保護などであった。
ガイドライン等の開発
以下のテーマについて、13種類の教材開発を行った。①メンタル不調の予防と早期支援・介入(事業者、産業医および産業看護職向け)、②早期発見・早期支援の手引き、職場での精神症状の出方(管理監督者向け)、③メンタルヘルス・トレーニング(労働者向け)、④精神疾患の医療面接(プライマリケア医向け)、⑤コミュニケーションワークブック、企業内でのメンタルヘルス調査の企画・実施、広汎性発達障害解説、精神科専門医との円滑な連携のための紹介状の書き方、職場でよくみる精神科治療薬(以上、産業医向け)、⑥精神科救急。
その他行政的観点からの成果
平成18年3月公示の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」では、事業者が講ずるように努めるべきメンタルヘルスケアが包括的に示され、その取り組みが強化されることが期待されてきた。一方、最近では臨床精神医学領域において、精神障害に対する早期支援・治療の重要性が強調されている。従って、労働者のメンタルヘルス不調を予防し、かつ早期に支援・介入するための、事業所内外の関係者が連携した包括的な枠組みを作り上げる必要があり本研究を進め、所定の成果を得た。
その他のインパクト
成果物を今後出版する計画が進められている。

発表件数

原著論文(和文)
4件
原著論文(英文等)
3件
その他論文(和文)
7件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
6件
学会発表(国際学会等)
4件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
15件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Urakawa K, Yokoyama K
Sense of coherence (SOC) may reduce the effects of occupational stress on mental health status among Japanese factory workers
Industrial Health , 47 , 503-508  (2009)
原著論文2
萩典子、大西信行、近藤信子他
産業看護職からみた労働者のメンタルヘルス不調者に対する早期介入・支援の実態とそのあり方
日本精神科看護学会学会誌 , 52 , 302-306  (2009)
原著論文3
大西信行、萩典子、福田弘子他
中小規模事業場のメンタルヘルス対策と求められる看護の役割
日本精神科看護学会学会誌 , 53 , 27-31  (2010)
原著論文4
鈴木麻揚・谷伊織・大久保豪他
労働者のメンタルヘルス不調事例にみられた最初の徴候と、当事者があればよかったと思った早期支援の内容
精神科治療学 , 26 , 913-919  (2011)
原著論文5
Tsutsumi A, Maruyama T, Nagata M
Psychiatric Knowledge and Skills Required of Occupational Physicians: Priorities in the Japanese Setting
J Occup Health , 53 , 371-376  (2011)
原著論文6
Okubo S, Yokoyama K, Suzuki M, Tani I, Ikeda W, Kitamura F
Difficulties in receiving a medical consultation among Japanese workers with mental health problems
J Occup health , 54 , 51-55  (2012)
原著論文7
永田昌子,堤 明純,中野和歌子,中村 純,森 晃爾
職域における広汎性発達障害者の頻度と対応:産業医経験を有する精神科医を対象とした調査
産業衛生学雑誌 , 54 , 29-36  (2012)

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
2019-06-17

収支報告書

文献番号
201032005Z