病院内の連携構築に係る病院管理マネジメントに関する研究

文献情報

文献番号
201031066A
報告書区分
総括
研究課題名
病院内の連携構築に係る病院管理マネジメントに関する研究
課題番号
H22-医療・指定-046
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 敏彦(日本医科大学 医療管理学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 平尾智広(香川大学 医学部)
  • 小林美亜(国立病院機構本部 総合研究センター)
  • 浅野昌彦(財団法人パブリックヘルスリサーチセンター)
  • 秋山昌範(東京大学政策ビジョン研究センター)
  • 加藤尚子(国際医療福祉大学)
  • 櫃本真聿(愛媛大学医学部付属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
9,216,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「院外のケアサイクル」と「院内のケアプロセス」をどのように連結するかということにある。それは言い換えれば「急性期病院の医療機能」を地域の生活資源として活用することに他ならない。これらをつなぐ強力なキーワードは新しい「連携」の概念である。本研究では、新たに構造転換を起こしつつある連携について再検討を行う、新しい連携モデルの構築を提案する。
研究方法
「需要」「病院機能分析」「地域の医療連携」「医療政策」「医療情報」に関して研究を行った。
結果と考察
「需要の分析」については、若年者の単一疾患患者は減少し、高齢者の複数疾患を抱えた患者が増加することが分かった。需要は、量的よりも複数疾患の長期に渡る質的に複雑なケアが増加することが大きな課題であると想定される。「病院機能」に関しては、連携のベースとなる医療の施設の機能は、日本は外国と比べてきわめて特異的であることが判明した。さらに設立主体が多岐に亘り、機能と所有のマトリックスがきわめて複雑である。 「院内の連携」に関しては、主に入院から退院までのプロセスをつなぐための取り組みがいくつかのモデルにまとめられることが分かった。「地域の具体的な医療連携」に関しては、山口大学病院・愛媛大学病院は、共に地方の中核的医療機能を果たしており、周辺の中小都市をもとより、郡部への人材や医療の供給に関わっていることが判明した。 「医療情報」に関しては、医療・福祉の統合したデータベースを構築した。この際、確率的連結を用いて、一患者のデータを追跡可能なデータインフラを構築した。医療ITに関しては、海外の先進事例を検討し、米国等で地域連携の情報化が進展していることを確認し、連携のための個人認証番号等のインフラの重要性が分かった。
結論
「院外のケアサイクル」と「院内のケアプロセス」をどのように連結するかという課題が重要であることが分かった。これを乗り越えるための一つの課題がガバナンスである。日本の病院の設立主体が複雑で、経営のガバナンスが大きな課題である。このことが連携をより複雑な課題としている。これまで用いてきた近代西洋医学は19世紀後半にドイツを中心として開発され、いわばその当時の社会、平均寿命50歳産業革命後の大工場、一疾患一エピソードの世界で生み出されたものである。1980年代ごろまでだましだまし使っていたものがいよいよ使えなくなったといえよう。
本年度は、日本の種々の伝統を踏まえ新たな医療とそのシステム化すなわち連携への課題を分析し提案し、さらに次年度の研究の展開を模索するための基礎分析となった。

公開日・更新日

公開日
2011-06-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201031066Z