遠隔医療技術活用に関する諸外国と我が国の実態の比較調査研究

文献情報

文献番号
201031063A
報告書区分
総括
研究課題名
遠隔医療技術活用に関する諸外国と我が国の実態の比較調査研究
課題番号
H22-医療・指定-043
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
酒巻 哲夫(群馬大学医学部附属病院 医療情報部)
研究分担者(所属機関)
  • 齋藤勇一郎(群馬大学医学部附属病院)
  • 辻 正次(兵庫県立大学)
  • 岡田 宏基(香川大学)
  • 森田 浩之(岐阜大学)
  • 柏木 賢治(山梨大学)
  • 郡 隆之(利根中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域医療体制が危機に瀕しており、遠隔医療は医療従事者の支援や遠方の患者に医療を提供する手段として期待されている。手法確立が求められ、多くの研究が進められたが未だ不十分である。

本研究では在宅の遠隔診療の実情や必要性、安全性、有効性などを調査する。また国内外の制度等を比較し、我が国の医療政策として活かすべき事柄を明らかにする。
研究方法
1.必要性の調査:遠隔医療の関係者、および患者・家族に対してニーズの有無や意識をアンケート調査した。
2.安全性の調査:遠隔診療を併用した群(遠隔診療群)と訪問診療のみの群(対照群)の診療記録から計画的診療と予定診療の発生頻度を比較した。(レトロスペクティブ研究)
3.有効性の調査:遠隔群と対照群に対するプロスペクティブ研究を開始した。
4.国内外の制度・実施状況調査:米国、英国、フランスなどで訪問調査を行った。
結果と考察
1. ニーズ調査のアンケートは、遠隔医療関係者・研究者で、配布197名/回収109名だった。患者・家族では配布1583名/回収939名だった。医療関係者、患者の双方で半数以上が遠隔診療を必要と回答した。遠隔診療の経験ある医師では機器障害など現実的な課題に不安を持ち、経験無い医師は技能者の不在や診断の精度などに不安を持っていた。実際に経験すれば、技能や診断精度などのることの重要性がわかった。
2. レトロスペクティブ研究の結果として、7施設から、在宅診療を受ける脳血管障害あるいはがんの患者67名について、対照群と遠隔診療群の間に予定外診療の発生に差は無く、遠隔医療の安全性についてある程度の評価を得た。
3.プロスペクティブ研究
レトロスペクティブ研究の暫定的な評価をベースに、有効性と安全性についての評価項目とプロトコルを設定し、多施設での遠隔診療実施群と対照群の比較研究を行う。プロトコルの確定、倫理的審査、施設の選定が終わり、一部の施設で患者からの同意を得て研究がスタートした。
4.海外調査
各国の制度について、規制の有無、実施者ライセンス、診療報酬の有無、実施施設への訪問などを行い、施設間での遠隔診療に関する多くの成果を得た。しかし、在宅での遠隔診療に関しては、いずれの国においても明確な進展を未だみていない。"
結論
遠隔診療の必要性および安全性について、ある程度の評価を得た。次年度はプロスペクティブ研究の遂行、研究全体のまとめと医療政策提言の検討を進める。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201031063Z