今後のEBM普及促進に向けた診療ガイドラインの役割と可能性に関する研究

文献情報

文献番号
201031062A
報告書区分
総括
研究課題名
今後のEBM普及促進に向けた診療ガイドラインの役割と可能性に関する研究
課題番号
H22-医療・指定-042
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
中山 健夫(京都大学大学院医学研究科 健康情報学)
研究分担者(所属機関)
  • 飯塚悦功(東京大学大学院工学系研究科 医療社会システム工学)
  • 棟近雅彦(早稲田大学理工学術院 創造理工学部経営システム工学科)
  • 水流聡子(東京大学大学院工学系研究科 医療社会システム工学)
  • 津谷喜一郎(東京大学大学院薬学系研究科 医薬政策学)
  • 稲葉一人(中京大学法科大学院 法務研究科)
  • 森臨太郎(東京大学大学院医学系研究科 国際保健政策学)
  • 東尚弘(東京大学大学院医学系研究科 公衆衛生学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
最良の臨床的エビデンスに基づき、患者の視点を反映した診療ガイドラインの作成・活用は、EBMの推進に不可欠であり、医療の質向上や医療安全、医療への社会的信頼の回復に向けた重要な政策的課題である。臨床現場が必ずしも推奨内容を実施しないエビデンス・診療ギャップの問題、クリニカルパスとの連携、法的位置づけ、医療経済的視点の反映、利益相反マネジメント、医療者、患者・家族等の意志決定支援やコミュニケーションの基点としての役割の明確化など喫緊の課題である。本課題は近年の到達点を踏まえ、診療ガイドラインが医療施策へ展開され、社会において適切に発展、機能することを目指して、関連諸課題の理論的・実証的研究に取り組み、日本社会において望まれる診療ガイドラインの在り方・方向性を提示することを目指す。
研究方法
新しいガイドライン作成法として提唱されたGRADE法の検証と推進者のGuyatt氏へのインタビュー。複数の臨床系学会への情報提供への情報提供・意見交換。レセプトデータベースを用いた推奨事項の実施率の試算。新生児聴覚スクリーニングおよびヒトパピローマワクチンの費用対効果分析のモデルを構築。医療工学的に開発された患者状態適応型パス(PCAPS)と診療ガイドラインの連携モデルの構築。法律情報データベースから診療ガイドライン関連の医事訴訟を抽出し事例検討を実施。
結果と考察
GRADE法のエビデンス・レベルと独立した推奨度の決定は臨床現場の実状を反映しているが、レビュー作業量が多く、臨床疫学的知識を持つ人材が相当数必要とされる。判例データベースから得られた19件の判決の内容は分析を継続。費用効果分析の実例を通して診療ガイドラインにおける経済的視点について課題を検討した。診療ガイドラインが扱う診療行為の範囲について、国内の「先進医療」の位置づけをLevineの理論モデルとヘルシンキ宣言第35項の視点からは検討した。診療ガイドラインオンの内容との連携による医療行為のモニタリング、質保証システムとしてのPCAPSの可能性を検討した。
結論
初年度は分担研究者・協力者、関連機関との協議により、本課題の目的を達するのに必要と判断された課題に取り組んだ。2年度目は各課題の検討を進め、成果還元と今後に向けた意見交換の場を設定し、EBMと診療ガイドラインに関する今後の方向性に向けた提言を行う。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201031062Z