厳格な医療従事者認証を用いた場合の診療、医療事務等に与える影響に関する研究

文献情報

文献番号
201031061A
報告書区分
総括
研究課題名
厳格な医療従事者認証を用いた場合の診療、医療事務等に与える影響に関する研究
課題番号
H22-医療・指定-041
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
太田 吉夫(岡山大学 岡山大学病院)
研究分担者(所属機関)
  • 合地 明(岡山大学 岡山大学病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
27,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在、電子カルテ等の医療情報に関し一定のIT化はなされたものの、「認証」に関してはIDとパスワードが中心で、また「署名」に関しては、電子的な作成が認められている公的文書等でも、文書を印刷して捺印することが一般的である。今後、電子認証ならびに電子署名の普及が必要となるが、現在HPKI(Healthcare Public Key Infrastructure)の仕組みを利用した電子認証・署名の普及促進に向けた検証は進んでいない。本研究では、HPKIの一つである日本医師会認証局発行の電子証明書を用いて電子署名を行い、病院の多忙な日常診療の中で実運用することが可能であるかを検証し、普及に向けての課題抽出を行った。
研究方法
「民間病院を中心とした医療情報連係フォーラム(通称 MIRF)」5病院において、HPKI署名、認証用の環境を構築し、以下の作業を行い課題の抽出を行った。
① 医師は事務の依頼に基づき、対象患者のカルテを確認しながら診断書の作成を行う。
② 診断書にHPKI署名を行う。(HPKIカードは医師に対して配布されている)
③ 生命保険会社へ送信のための手続き(作成医師による送信用ファイルへの登録)を行う。
④ タイムスタンプの取得(事務員、一部の医師は本人によって行った)を行う。
⑤ 保険会社へ電子送信(事務員)を行う。

結果と考察
① 設計した運用は大きな問題なく実施可能であり、診断書の電子化については、医療側・患者側いずれも将来の動向として受け入れる用意があるとの確認を行うことができた。
② 診断書の送信にあたって、今回構築したネットワーク・システムでは問題が発生しなかった。一方、当初の予定であった生命保険会社での運用を含めた業務の効率化について検証を行うまでには至らなかった。
③その一方で、システム構築導入に対する対応、個人情報を取り扱うための対応、研究参加者に対する広報・教育など、現場(病院)の初期負担が大変大きいことが確認された。
④概念的な運用設計上の問題はなかったが、実際の運用にあたっては、例えば利用できる端末の制限などにより、研究結果にバイアスがかかる可能性が示唆された。
⑤ HPKIカードの発行過程に関する課題が確認された。
結論
システム上での大きな問題は見られなかったが、実行の細部に検討すべき課題が認識された。スムースな運用を妨げる要因の抽出など、今後も継続した研究が必要と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2011-05-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201031061Z