病院間及び病院内の連携体制の構築並びに医療計画の策定及び推進手法に関する研究

文献情報

文献番号
201031056A
報告書区分
総括
研究課題名
病院間及び病院内の連携体制の構築並びに医療計画の策定及び推進手法に関する研究
課題番号
H21-医療・指定-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
水上 尚典(北海道大学大学院医学研究科 生殖・発達医学講座 産科・生殖医学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 千石 一雄(旭川医科大学医学部 産婦人科学)
  • 斉藤 豪(札幌医科大学 婦人科腫瘍学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
周産期救急患者を受け入れ可能病院への搬送時間短縮が社会から求められている。いわゆる「たらいまわし」現象克服のためのシステム構築とその効果について検証する。
研究方法
札幌市では、「たらいまわし」現象克服のため、ならびに助産師能力の最大活用を目的として、平成20年10月から新制度をスタートした。夜間急病センター内に産婦人科救急情報オぺレーター(助産師又は看護師2名)を配置し、NICUを有する市内6病院の空床状況を毎日把握して、ハイリスク妊婦の受入病院を迅速に決める仕組み、未受診妊婦の高次施設間での受け入れ機会均等を促進する仕組みを導入した。また、情報オペレーターは、一般市民からの夜間の電話相談(産婦人科に関する内容)にも応じ、不要不急の119番通報に歯止めをかける仕組みも構築した。さらに、周辺自治体や消防本部の協力を得ながら、道央3次医療圏及び道北3次医療圏における周産期救急医療体制の現状と課題を明らかにし、広域的な協力体制のあり方についても検討した。
結果と考察
医師による「受け入れ病院探し」に関する労働時間が消滅した。夜間の不要不急の一次あるいは二次施設受診と産婦人科に関する救急車出動要請数の減少が見られた。救急隊による未受診妊婦出産時の受け入れ病院探しが消滅した(予め週単位で受け入れ病院が決まっているため)。結果、救急患者発生から適切な病院への収容までの時間短縮が起こった。人口190万都市では夜間に婦人科受診あるいは婦人科に関して専門家の意見を求めたくなる事象が年間約2000件(5.5件/日、平成21年度2036件、22年度1989件)発生することが明らかとなった。うち、約450件(平成21年度447件、22年度469件)は電話相談のみで相談者は満足する事象であり、約600件(平成21年度672件、22年度543件)は明朝以降の受診で十分な事象であった。実際に二次あるいは三次施設受診勧奨が行なわれた件数は約200?300件(平成21年度279件、22年度186件)であった。コーディネーターの誤判断による、手遅れ等の健康被害はこれまでに報告されていない。
結論
コーディネーターによる二次三次医療施設の空床状況についての情報一元化とコーディネーターによる電話相談ならびに適切な病院受診勧奨は、医療従事者専門家(医師、助産師、看護師など)の労働量削減、適切な救急車利用促進、救急患者発生から適切な病院への収容時間短縮に有効である。

公開日・更新日

公開日
2011-08-02
更新日
-

文献情報

文献番号
201031056B
報告書区分
総合
研究課題名
病院間及び病院内の連携体制の構築並びに医療計画の策定及び推進手法に関する研究
課題番号
H21-医療・指定-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
水上 尚典(北海道大学大学院医学研究科 生殖・発達医学講座 産科・生殖医学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 千石 一雄(旭川医科大学医学部 産婦人科学)
  • 斉藤 豪(札幌医科大学 婦人科腫瘍学)
  • 館石 崇隆(札幌市保健所)
  • 川内 敦文(高知県健康福祉部医療薬務課)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年産婦人科医数の減少により、産婦人科救急医療においていわゆる「たらいまわし」現象の問題が指摘されている。この問題に関しては、一病院の問題ではなく、その地域の医療システムの問題であり行政が積極的に介入することにより問題解決が図られる可能性がある。すなわち、医療システムに関して行政が積極的に関与することにより、医療資源の有効活用促進が可能か否かについて検討するものである。
研究方法
平成21年度ならびに平成22年度に新システムにおけるデータ収集を行なった。夜間急病センター内に産婦人科救急情報オぺレーター(助産師又は看護師2名)を配置し、NICUを有する市内6病院の空床状況を毎日把握して、ハイリスク妊婦の受入病院を迅速に決める仕組み、未受診妊婦の高次施設間での受け入れ機会均等を促進する仕組みを導入した。また、情報オペレーターは、一般市民からの夜間の電話相談(産婦人科に関する内容)にも応じ、不要不急の119番通報に歯止めをかける仕組みも構築した。さらに、周辺自治体や消防本部の協力を得ながら、道央3次医療圏及び道北3次医療圏における周産期救急医療体制の現状と課題を明らかにし、広域的な協力体制のあり方についても検討した。
結果と考察
医師による「受け入れ病院探し」に関する労働時間が消滅した。夜間の不要不急の一次あるいは二次施設受診と産婦人科に関する救急車出動要請数の減少が見られた。救急隊による未受診妊婦出産時の受け入れ病院探しが消滅した(予め週単位で受け入れ病院が決まっているため)。結果、救急患者発生から適切な病院への収容までの時間短縮が起こった。人口190万都市では夜間に婦人科受診あるいは婦人科に関して専門家の意見を求めたくなる事象が年間約2000件(5.5件/日、平成21年度2036件、22年度1989件)発生することが明らかとなった。うち、約450件(平成21年度447件、22年度469件)は電話相談のみで相談者は満足する事象であり、約600件(平成21年度672件、22年度543件)は明朝以降の受診で十分な事象であった。実際に二次あるいは三次施設受診勧奨が行なわれた件数は約200~300件(平成21年度279件、22年度186件)であった。コーディネーターの誤判断による、手遅れ等の健康被害はこれまでに報告されていない。
結論
コーディネーターによる二次三次医療施設の空床状況についての情報一元化とコーディネーターによる電話相談ならびに適切な病院受診勧奨は、医療従事者専門家(医師、助産師、看護師など)の労働量削減、適切な救急車利用促進、救急患者発生から適切な病院への収容時間短縮に有効である。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201031056C

収支報告書

文献番号
201031056Z