医療放射線の安全確保と有効利用に関する研究

文献情報

文献番号
201031043A
報告書区分
総括
研究課題名
医療放射線の安全確保と有効利用に関する研究
課題番号
H22-医療・一般-027
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
細野 眞(近畿大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 山口 一郎(国立保健医療科学院 生活環境部)
  • 岡野 友宏(昭和大学 歯学部)
  • 赤羽 正章(東京大学 医学部附属病院)
  • 高橋 健夫(群馬大学大学院 医学系研究科病態腫瘍制御学講座)
  • 雫石 一也(横浜市立大学 医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
3,528,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、医療放射線の目覚ましい進歩と高度化に対応して、医療放射線の安全確保と有効利用を実現するために、わが国の医療の実態に即した放射線安全の推進に利用可能な資料を作成し、指針を示すことを目的とした。
研究方法
国内の医療放射線現場の安全管理体制の実施状況を調査し、医療放射線に係る国際的な安全基準やガイドラインのわが国への適用の妥当性を検討して、放射線診療の主たる分野、すなわち、放射線診断、核医学、放射線治療の各専門分野において課題を分担し医療放射線安全に関する具体的な資料・指針の作成を行った。
結果と考察
国際放射線防護委員会は、2007年新基本勧告Publication 103やPublication 105「医学における放射線防護」において、「正当化」と「最適化」の原則を遵守し、人の生命・健康が守られるための指針を確立することを求めている。さらに国際原子力機関は、世界保健機関や国際労働機関等と共同で医療放射線の安全に関する指針の提言を行い、加盟各国に対してこの詳細要件を規制体系へ取り入れることを求めている。このような国際動向はX線CTに代表されるような医療被ばく線量の増大、医療技術の高度化や治療内容の複雑化を踏まえたものであると考えられる。この国際動向に現れているように、医療放射線利用において「正当化」と防護の「最適化」を両立させる制度を作ることは、言い換えると、放射線の利用において「良質な医療を提供する体制の確立を図る」ことと同義であると考えられ、これは国内でも医療法の改正などを通じて取り組まれつつあることでもある。このような流れのなかで、国内の安全管理体制の実態を踏まえつつ、放射線診断、核医学、放射線治療の各分野において国際的基準と整合性のある安全基準やガイドラインを考察した。既に国内で関連学会・団体等が作成している資料や指針は大きな資産であり、それらを有効に活用することも必要であると考えられた。また国内の医療施設の現状を考慮して、個々の医療施設や医療行為のリスク評価に応じて、医療施設に過度の負担にならないような実効性の高い品質管理を提案することが重要であると考えられた。
結論
本研究で示した放射線診療目的別のリスク評価に見合った安全基準やガイドラインは、国内の医療機関で放射線が安全かつ有効に用いられることに寄与できると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201031043Z