医療事故における無過失補償の可能性と限界:諸外国および他分野における補償システムとの比較研究

文献情報

文献番号
201031040A
報告書区分
総括
研究課題名
医療事故における無過失補償の可能性と限界:諸外国および他分野における補償システムとの比較研究
課題番号
H22-医療・一般-024
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
岩田 太(上智大学 法学部国際関係法学科)
研究分担者(所属機関)
  • 樋口 範雄(東京大学大学院法学政治学研究科)
  • 児玉 安司(三宅坂総合法律事務所・東京大学医学部)
  • 山口 斉昭(早稲田大学法学部)
  • 佐藤雄一郎(神戸学院大学法学部)
  • 磯部 哲(慶應義塾大学大学院・法務研究科)
  • 我妻 学(首都大学東京法科大学院)
  • 木戸浩一郎(帝京大学産婦人科)
  • 織田有基子(日本大学大学院法務研究科)
  • 畑中 綾子(東京大学大学院公共政策連携研究部)
  • 土屋 裕子(東京大学大学院法学政治学研究科)
  • 水野 謙(学習院大学法学部)
  • 小山田朋子(明治大学政治経済学部)
  • 佐藤智晶(東京大学政策ビジョン研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は,今後日本で緊喫な対応が求められる医療における無過失補償制度の構築を見据え,諸外国における制度の全体像を整理し,具体的な論点を明確化することを目標とする.そのため本研究では,従来十分検討されることのなかった裁判,社会保障などの外在的な諸制度と補償制度との相互関係を意識しつつ,以下の2つの観点からの分析を行うことを目指す.

研究方法
第1は,英米仏独豪ニュー・ジーランド(NZ),スウェーデンなどの医療事故補償制度の先行研究を網羅的に検討するとともに,可能な限りそれらの諸国の最新の状況も専門家へのインタビューなどにより分析することによって,諸外国における医療分野の紛争処理制度の全体像を明らかにする.第2は,産科医療補償制度の制度枠組み・運用実績などを,諸外国の制度と比較分析することによりその意義,課題を検証する.その際可能な限り日本での他分野における補償制度との比較も行いたい.
結果と考察
 詳細は研究報告書に譲るが,まず医療事故をめぐる救済のあり方に関する諸外国の制度についての研究として,以下のようなものがある.すなわち,ニュー・ジーランドの事故補償制度についての報告,米ヴァージニアおよびフロリダ州における産科補償制度に関する報告,合衆国における医薬品に関する製造物責任に関する報告,合衆国の予防接種被害に対する補償制度を検討した報告がある.特にニュージーランドの無過失補償制度および合衆国における医薬品に対する製造物責任に関する報告は諸外国の視点から,日本における現行の救済制度の中心である民事責任の現状に対する反省的な視点も含まれている.また,日本における医療事故関連分野における補償制度についての研究として,予防接種健康被害救済制度の問題点を論じた報告および従来十分論じられてこなかった献血者健康被害救済制度を論じた報告がある.さらに,事故をめぐる救済にも関連する患者の権利に関する研究として,遺体に対する遺族の権利に関する報告がある.
結論
これまでの研究からも明らかになったのは,従来日本における議論が前提としていた従来の民事訴訟における補償の理念および補償額の再検討や,そもそも訴訟の目的が何かを含めた検討を行うことの必要性が示唆されていることでる.来年度は最終年度であるので,これまでの研究をさらに継続すると同時に日本における産科補償制度などへの研究も広げ,日本における無過失補償制度検討の際の基本的な資料を提供することと目指す.

公開日・更新日

公開日
2011-06-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
201031040Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,000,000円
(2)補助金確定額
9,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 0円
間接経費 0円
合計 0円

備考

備考
【収支差額】
預金利息  162円
自己負担 1,585円

公開日・更新日

公開日
2017-05-25
更新日
-