国内外の歯科補綴物の実態に関する研究

文献情報

文献番号
201031035A
報告書区分
総括
研究課題名
国内外の歯科補綴物の実態に関する研究
課題番号
H22-医療・一般-019
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
宮崎 秀夫(新潟大学 医歯学系)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 博信(福岡歯科大学 歯学部)
  • 末瀬 一彦(大阪歯科大学歯科技工士専門学校)
  • 吉成 正雄(東京歯科大学 口腔科学研究センター)
  • 阿部 智(神奈川歯科大学 歯学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
12,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 研究目的は,各国の歯科技工管理体制を調査し、我が国における歯科技工の情報提供の在り方を考え、さらに歯科補綴物の安全性について分析することである。
研究方法
 553歯科医院,1713歯科技工所,5710名の患者に対し歯科補綴物等のトレーサビリティーに関する質問票調査を実施し,歯科医院と歯科技工所に「(仮称)補てつ物管理票」の試験使用を依頼した。また,歯科補綴物に関する諸外国の制度を比較検討するため米国,中国,韓国,台湾,東南アジア諸国を対象として,各国の歯科補綴物の管理体制に関する調査を行った。さらに歯科補綴物の安全性を確認するため,EPMAによる陶材焼付鋳造冠の陶材成分分析,およびICPによる生理食塩水と腐食試験用溶液を用いた溶出元素測定をし,マウス線維芽細胞L929をISO-10993に準拠した方法にて細胞毒性試験を行った。
結果と考察
 歯科補綴物のトレーサビリティーに対する期待は大きかったが,歯科医師と歯科技工士間,歯科医師と患者間で重視する情報に差が示された。「(仮称)補てつ物管理票」については,歯科医師,歯科技工士の専門家から使い勝手の悪さが指摘されており,既存の技工指示書,技工納品伝票,診療録の記載方法などの整合性など臨床現場の現状に即した改良が望ましいと考えられた。
 歯科補綴物の制度については,米国では歯科補綴物を医療機器とし,米国食品医薬品局が監督省庁となって連邦食品医薬品化粧品法の医薬品製造管理基準で管理されていた。使用材料に関する情報は,IdentAlloy/IdentCeram により歯科技工所と歯科医院へ提供していた。中国では,国家食品薬品監督管理局によって歯科技工所には医療器械生産企業許可証,歯科補綴物には医療器械商品登録証の取得が義務付けられ,安全性の確保に努めていた。一方,韓国と台湾では資格試験に基づく歯科技工士の免許制度が整備され,東南アジア諸国には制度がなかった。
 EPMAによる陶材成分分析の結果,オペーク陶材では長石系陶材の成分に加え,微量元素が多岐にわたって含有されていたが,すべての試料からPbは検出されなかった。また,ICP分析の結果,pHの低い溶液中で溶出量が顕著に増加し,耐食性の劣る元素が優先的に溶出したが,全ての溶出液に細胞毒性は認められなかった。
結論
 各国が独自の規格で歯科補綴物の安全管理のためのシステム作りを推進しているが,歯科補綴物の国際流通を視野に入れた主要国との連携は行われておらず,今後の早急な課題と思われた。

公開日・更新日

公開日
2011-06-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201031035Z