医療の質に関わる臨床指標の日常的測定システムの開発と展開-指標公表の影響評価と方策の研究-

文献情報

文献番号
201031033A
報告書区分
総括
研究課題名
医療の質に関わる臨床指標の日常的測定システムの開発と展開-指標公表の影響評価と方策の研究-
課題番号
H22-医療・一般-017
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
今中 雄一(京都大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 廣瀬 昌博(島根大学医学部附属病院 病院医学教育センター)
  • 林田 賢史(産業医科大学病院 医療情報部)
  • 猪飼 宏(京都大学 医学研究科)
  • 村上 玄樹(広島大学 医歯薬学総合研究科)
  • 徳永 淳也(九州看護福祉大学 看護福祉学部)
  • 大坪 徹也(京都大学 医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
12,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 昨今、医療の質の向上・均てん化や医療機関選択に資する情報公表が求められるようになり、臨床評価指標を多施設間比較可能な形でのモニタリングや公表が益々重要視されるようになった。しかし、数量化しにくく多次元の医療の質を数値で公表すると、誤解や誤用など社会的な副作用も考えられる。そこで、臨床指標やその公表方策の開発、改善の関連要因や公表の影響の分析を目的として研究を行った。
研究方法
 これまでの研究実績を礎に、1:日常的に収集されるデータを用いた臨床指標の開発・算出・多施設間比較と要因分析、2:臨床指公表の影響の多角的な評価・検討、3:臨床指標公表の方策の開発・改善、を進めた。現在全国の約300の地域中核的病院(年間200万?300万症例)から経年的・継続的にDPCデータ相当の診療・医事の症例詳細データの提供を受け、臨床指標と関連指標を多施設間比較の可能な形で算出した。一方で患者側からの医療評価として患者満足度も比較可能な形で指標化し、改善の要因となりうる職員の意識も調査した。
結果と考察
 指標公表の方策を検討し、Webを用いて2010年12月24日に17の臨床指標の公表を開始した。データ協力病院の約半数が病院実名入りの公表を行い、総体としては指標の高低に係らず判断していることが示唆された。指標公表の方策を開発し首尾よく多施設の多指標を公表することができたことは、今後の多指標公表の施策に役立たせることができよう。
 一方で、術後感染同定方法の開発と検証、ICU患者の死亡等アウトカムの予測モデル構築、診療体制のプロセスに及ぼす影響、敗血症によるDICの治療実態調査、心不全治療の経済性評価、手術室運営の効率性評価指標の開発等行った。これらは制度レベルでの多施設の医療の質のモニタリング、医療機関レベルでの医療の向上に役立つしくみとして利用できるだろう。
結論
 200以上多施設の臨床指標を公表できたことは、制度レベルでの多施設の医療の質のモニタリング、医療機関レベルでの医療の向上に役立つしくみとして利用できるだろう。また、今後の臨床指標公表の施策に役立たせることができよう。次年度は、指標の範囲を順次拡張し、公表方策の検討と改善を重ね、指標の変化とその要因、公表の影響を分析し、日常的算出と改善に資するシステムへの礎としていく計画である。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201031033Z