生薬を用いた東アジア地区伝統医学と漢方医学の構成薬物及び配合比,表記法などに関する比較研究とデータベース作成

文献情報

文献番号
201031030A
報告書区分
総括
研究課題名
生薬を用いた東アジア地区伝統医学と漢方医学の構成薬物及び配合比,表記法などに関する比較研究とデータベース作成
課題番号
H22-医療・一般-014
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
鳥居塚 和生(昭和大学 薬学部 生薬学・植物薬品化学)
研究分担者(所属機関)
  • 津谷 喜一郎(東京大学大学院薬学系研究科 医薬政策学)
  • 関 隆志(東北大学大学院医学系研究科・先進漢方治療医学)
  • 御影 雅幸(金沢大学大学院自然科学研究科)
  • 小松 かつ子(富山大学・和漢医薬学総合研究所)
  • 伊藤 喬(昭和大学 薬学部 薬化学)
  • 亀井 美和子(日本大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
東アジア地区の伝統医学は古代中国医学の影響を受け,その後各国で独自の発展をとげた.そのため現在では生薬の基原・表記法・処方の構成に差異を生じ,同名異物や異名同物などの混乱がみられ,情報交換に齟齬や障害を生じる一因になっている.
本研究は以下のような比較調査研究を行うものである:(1)公定書・準公定書の記載の処方名・基原植物名などの表記に関する情報を整理する,(2)生薬処方,生薬由来製剤(含サプリメント)について市場調査を実施する,(3)欧米諸国市場における情報収集,実地調査を行う.これらを通じて実態を明らかにし,情報交換における齟齬が生じないようなデータベースを提供することを目的とする.
研究方法
次のようなデータベースの基礎資料を作成した:「生薬モノグラフ」「漢方方剤モノグラフ」「改訂版 汎用生薬便覧」,各国薬局方の収載事項など.また,混乱が生じる可能性のある生薬を取り上げ,含有成分探索および化学的識別法を検討した(鳥居塚).確認試験などに供するため,立体構造が天然物と同じ標準物質の合成法を検討した(伊藤).
実施調査として,基原植物の異同を明らかにするために甘粛省の大黄の実態を調査した(小松).インド調査ではアーユルヴェーダ医学における製剤について調査し,薬物店で扱うすべての生薬について比較検討を行った(御影).制度や規制についての調査としては,国際標準化機構(ISO)における伝統医学に関する専門委員会に参加して情報を収集した(関).英国の伝統医療に対する法規制と,その制定に至る経緯と概要を調査した(亀井).最高裁判所が提供する判例検索システムを利用して,生薬などに対する裁判例を収集し,争点を解析した(津谷).
結果と考察
国際的に伝統医学の科学的評価と臨床利用の機運が高まっているが,この様な研究を通じて,各国間での整合性が図られることによって,伝統医薬の臨床応用や追試験が速やかに行うことが出来る.加えて生理活性が見いだされ報告された場合には,その再現性の確認や発展的研究に素早くとりかかることが出来,新規医薬品開発に与える影響も大きい.
結論
情報を整備していくことは,生薬の不適切な使用による健康被害を未然に防ぐ上で国民および国際的にも大きく貢献できると考えられる.また伝統医学の国際的な標準化会議に提供できる科学的資料としても位置付けられる.

公開日・更新日

公開日
2011-08-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201031030Z