健康長寿につながる小児期からの定期的チェックアップシステムの構築

文献情報

文献番号
201031022A
報告書区分
総括
研究課題名
健康長寿につながる小児期からの定期的チェックアップシステムの構築
課題番号
H22-医療・一般-006
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
田中 光郎(岩手医科大学 歯学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在の日本の小児歯科検診は子ども達の歯科疾患を早期に発見して歯科受診を勧めるスクリーニングとして重要な役割を果たして来ているが、この検診はすでに生じてしまった歯科疾患のスクリーニングであること、学校を卒業した途端に定期的な歯科検診を受けなくなる人々が生じる、という2つの問題点を指摘することができる。一方、欧米で行われている「チェックアップ」は個々の小児の状況に応じた清掃指導、摂食指導、PMTC、フッ化物塗布などの予防的指導や処置、バイトウイングX線検査による隣接面齲蝕の早期発見などを行うオーダーメードの歯科健康診査であり、大人数を対象として一律に行う「スクリーニング」に比較して、歯科疾患を「予防」する観点からは格段に有用なシステムである。この定期的歯科チェックアップに関してわが国と欧米諸国との現状の違いを把握し今後の目指すべき方向性を検討することを目的とした。
研究方法
12歳児のDMFTが低い英国、オランダ、スウェーデン、オーストラリア、高いチェコ、そして日本の6か国について、12歳児を持つ母親を対象に定期的な歯科チェックアップに関してアンケート調査を実施した。
結果と考察
小児のチェックアップの受診率は英国、オランダ、スウェーデン、チェコでは95%以上であり特にスウェーデンでは99%となっており、ほとんどすべての小児が定期的チェックアップを受けていたが、日本は44%にすぎなかった。受診させていない理由としては「必要を感じていない」、「経済的に負担が大きい」「時間的に余裕がない」ことが挙げられていた。事実、英国、スウェーデンではほとんどの人が自己負担がないのに対し日本では80%が自己負担していた。また、チェックアップのために学校を休んだことが一度もないと回答した母親は、スウェーデンではわずかに12%であり、オーストラリア34%、チェコ37%、オランダ42%、英国53%であったのに対し、日本は98%と高率であった。
結論
わが国では、定期的チェックアップの価値が欧米ほど評価されておらず、社会的、経済的な背景も相俟って実際の行動に結びついていないが、小児の口腔衛生状態の更なる改善は将来の成人の口腔衛生状態改善にも資するものであり、欧米並みに受診率を上げることはわが国の口腔保健向上の観点から今後取り組むべき課題である。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201031022Z