文献情報
文献番号
201031010A
報告書区分
総括
研究課題名
小児医療、産科・周産期医療、精神科医療領域と一般救急医療との連携体制構築のための具体的方策に関する研究
課題番号
H21-医療・一般-011
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
宮坂 勝之(地方独立行政法人長野県立病院機構 長野県立こども病院 麻酔・集中治療部)
研究分担者(所属機関)
- 左合 治彦(独立行政法人 国立成育医療研究センター 周産期診療部)
- 杉山 直也(財団法人復康会 沼津中央病院)
- 木村 昭夫(独立行政法人 国立国際医療研究センター病院 救急科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
平成20年の、厚生労働省による「救急医療の今後のあり方に関する検討会」の中間取りまとめの提言に基づき、一般の救急領域に対して、社会問題化が目立つ産科救急・小児救急・精神科救急など、専門的な病態を取り扱う特定の診療領域の救急の取り扱い、初診施設や救急隊員が適切に専門医療機関に患者を搬送する方策、医療機関の救急体制の立ち位置や連携確保方策などの調査研究を行い、今後の方向性に資する。
研究方法
一般の救急医療との連携では、各領域内の検討および実例の収集検討、各領域の持つ特性と課題の共通の認識を深め、領域間の連携の具体的な方策を検討した。小児救急、精神科救急では、領域内の体制自体の構築の重要を中心に検討した。小児救急領域では、平成21年の改正消防法での、現場と医療機関をつなぐ救急隊の業務を円滑に遂行させるため、搬送基準、受け入れ基準案等の作成を行った。一般救急領域と特定領域の連携では医師相互の教育、小児重症患者の受け皿として現在わが国では全く未整備の小児集中治療室 (PICU)の整備を進める目安となる必要ベッド数や設置基準の検討を行った。
結果と考察
先行する欧米の報告からわが国のPICU必要患者は年間2.6万人。20床規模のPICUを年間入床1000例の体制で稼働させれば、全国に25ヶ所のPICUが必要。実際には搬送体制の充実、地理的な背景の考慮、小児人口予測などの加味が必要。運用面、小児科医の救急医療に対する意識改革が必要。精神科救急領域と一般救急との連携では自殺企図者の対応が主であるが、その他の救急患者への対応を含めて、全国的な視点での適切な患者搬送先選定基準案を作成した。産科救急では産褥期出血の重要性が認識され、搬送のタイミングの周知、産科危機的出血への対応ガイドラインの有用性が示唆された。
結論
1) 重症患者が分散されていることが小児救急の問題であり、既成概念に捕らわれない効率的なPICU整備と、共通の患者データベースの構築を提言した。適正なPICU数としては20床規模で全国25ヶ所が目安。
2)精神科救急領域では、適切な患者搬送先選定基準案を提案した。
3)産科救急領域では、母体救命搬送の多くが実は産褥期の出血性疾患であることが示された。分娩取り扱い施設が搬送のタイミングを逃さないために、産科危機的出血への対応ガイドラインの周知が重要。
4)一般救急領域と特定領域の救急医療との連携強化には、救急科医養成研修プログラム内で、小児救急や産科救急、精神科救急といった領域への短期間ローテーションを導入する必要性が認識された。
2)精神科救急領域では、適切な患者搬送先選定基準案を提案した。
3)産科救急領域では、母体救命搬送の多くが実は産褥期の出血性疾患であることが示された。分娩取り扱い施設が搬送のタイミングを逃さないために、産科危機的出血への対応ガイドラインの周知が重要。
4)一般救急領域と特定領域の救急医療との連携強化には、救急科医養成研修プログラム内で、小児救急や産科救急、精神科救急といった領域への短期間ローテーションを導入する必要性が認識された。
公開日・更新日
公開日
2011-06-09
更新日
-