診療関連死における剖検に関する実態および意識調査

文献情報

文献番号
201031008A
報告書区分
総括
研究課題名
診療関連死における剖検に関する実態および意識調査
課題番号
H21-医療・一般-009
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
池田 典昭(九州大学 医学(系)研究科(研究院))
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
1,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本では、現在、診療関連死の第三者評価制度(医療安全調査委員会(仮称))の整備について議論が進められている。当該制度は、医療事故問題の解決を図る上で重要な制度であるといえるが、この制度が真に機能するためには、診療関連死に関係した医療従事者と遺族の双方が剖検の意義を理解し、その実施に協力する必要がある。
現在、日本の剖検率は欧米諸国と比較すると著しく低い状況にある。この理由として、遺族が剖検に同意しないこと、同意しない理由として、日本人のご遺体に対する特有の意識(「ご遺体を傷つけたくない」など)が挙げられることが多い。仮に遺族の意識が低剖検率の理由であれば、診療関連死の第三者評価制度を構築したとしても、十分には機能しないことになる。しかし、低剖検率の理由は、日本人特有の意識にあるのではなく、遺族が剖検の意義を十分に理解していないことにあることも考えられる。仮にこのことが低剖検率の理由であるとすれば、遺族への情報提供の強化を行うことなどにより、当該制度は機能することなる。
そこで、本研究は、一般人を対象として調査を行い、診療関連死における剖検の意義の理解度を明らかにする。その上で、剖検率の高低に影響を与える因子を分析し、日本の剖検率を高めるための有効な手段について提言を行うことを目的とする。
研究方法
1年目の本年度においては、一般人の剖検に対する意識に関する実態調査につき、以下の手順で実施した。対象者は、アンケート調査会社に委託をし、抽出をした、一般人2300名を対象とし、無記名・自記式の質問紙調査を実施した。調査期間は、2010年2月4日から同月16日である。
結果と考察
回収率は、68.5%(1575名)であった。回答の代表的結果(記述統計)を以下に示す。
本調査では、診療関連死につき、(1)医療行為の過失、(2)過失と死亡との因果関係の2点につき、それぞれ、「あり」、「なし」、「不明」の3つに区分し、質問をした。自身の家族に、剖検を必要であると回答した割合は、過失がある場合に89.4% (1408名)、過失が不明な場合に80.4%(1267名)、過失がない場合に18.2%(287名)であった。また、因果関係がある場合に73.8%(1163名)、因果関係が不明な場合に66.2%(1042名)、因果関係がない場合に17.3%(272名)であった。
結論
詳細については、次年度の研究に譲る。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

文献情報

文献番号
201031008B
報告書区分
総合
研究課題名
診療関連死における剖検に関する実態および意識調査
課題番号
H21-医療・一般-009
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
池田 典昭(九州大学 医学(系)研究科(研究院))
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本では、現在、診療関連死の第三者評価制度(医療安全調査委員会(仮称))の整備について議論が進められている。当該制度は、医療事故問題の解決を図る上で重要な制度であるといえるが、この制度が真に機能するためには、診療関連死に関係した医療従事者と遺族の双方が剖検の意義を理解し、その実施に協力する必要がある。本研究は、一般人を対象として調査を行い、診療関連死における剖検の意義の理解度を明らかにする。
研究方法
一般人の剖検に対する意識に関する実態調査につき、以下の手順で実施した。対象者は、アンケート調査会社に委託をし、抽出をした、一般人2300名を対象とし、無記名・自記式の質問紙調査を実施した。調査期間は、2010年2月4日から同月16日である。
調査においては、医療行為と因果関係のある死亡が生じた場合(事例1)について、医療行為の過失の有無を区分して、上記の一般市民の意識と行動を尋ねた。また、患者が死亡し医療行為に過失があった場合(事例2)について、過失と死亡との因果関係の有無を区分して、一般市民の意識と行動を尋ねた。
結果と考察
回収率は、68.5%(1575名)であった。回答の代表的結果(記述統計)を以下に示す。
特に剖検が必要となる、事例1において過失が不明な場合、事例2において因果関係が不明な場合について、研究結果を示す。
1. 剖検に関する意識
一般市民の多くは、診療関連死が生じた場合、剖検を実施すべきであると考えていた。
2. 剖検に関する実際の行動
(1)事例1の医療行為の過失の有無が不明な場合
剖検を医師へ依頼しないと回答した一般市民が29.1%存在した。
(2)事例2の過失と死亡との因果関係が不明な場合
剖検を医師へ依頼しないと回答した一般市民が41.7%存在した。
3. 意識と行動の違い
(1)事例1の医療行為の過失の有無が不明な場合
剖検を必要と考えていても、実際には剖検を医師へ依頼しない一般市民が、15.4%存在した。
(2)事例2の過失と死亡との因果関係が不明な場合
剖検を必要と考えていても、実際には剖検を医師へ依頼しない一般市民が、13.5%存在した。
結論
現在、日本では、診療関連死における死因究明の在り方について議論が繰り返されている。本研究で得られた結果は、ここでの議論にも有益であると思われる。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201031008C

収支報告書

文献番号
201031008Z