文献情報
文献番号
201031007A
報告書区分
総括
研究課題名
剖検率に影響を与える諸因子に関する研究
課題番号
H21-医療・一般-008
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
黒田 誠(藤田保健衛生大学 医学部病理診断科1)
研究分担者(所属機関)
- 相馬 孝博(東京医科大学 医療安全管理学講座)
- 真鍋 俊明(滋賀県立成人病センター研究所)
- 池田 洋(愛知医科大学 病理学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
厚生労働省は診療関連死の死因究明に関して、医療安全調査委員会の設置を提案している。その調査の実際において6年が経過し、日本医療安全調査機構へとモデルチェンジしたにも関わらず解剖実施数が増えない。診療関連死に限らず通常に施行されるべき病理解剖も増加傾向は全くみられない。
本研究では、まず解剖そのものの有効性について検証を行う。
日本医療安全調査機構の実施地域のうち愛知県の剖検システムの25年に及ぶ実績を分析し調査を行う。
また高い剖検率を保っている諸外国の実情を海外視察とアンケート実施により検討し日本の現状を打開するヒントを探り出す。
本研究では、まず解剖そのものの有効性について検証を行う。
日本医療安全調査機構の実施地域のうち愛知県の剖検システムの25年に及ぶ実績を分析し調査を行う。
また高い剖検率を保っている諸外国の実情を海外視察とアンケート実施により検討し日本の現状を打開するヒントを探り出す。
研究方法
愛知県剖検システムで解剖が実施できた場合についての評価と解剖実施の説明に何を加えることで遺族の理解が深まるかという点について検討を加えた。
世界的に高い評価を受けている国を対象に海外視察を実施し日本が学ぶべき内容を検討し実現可能な因子を抽出した。
世界的に高い評価を受けている国を対象に海外視察を実施し日本が学ぶべき内容を検討し実現可能な因子を抽出した。
結果と考察
愛知県剖検システムを利用されたご遺族の意識調査では病理解剖についての知識は乏しく抵抗感はかなり高いが納得できる説明がなされれば理解を示す傾向にあることがわかった。
システムのコストについても多く意見が出されており財政的に公的な支出の重要性を再確認した。
またオーストリア・ハンガリーの調査では、剖検率は世界標準からみて高く基本的には法律的に病理解剖がされており、両国ともに病理解剖施行に対し国民の理解が得られており経費は国が負担していた。オーストラリアの調査では剖検率は日本同様最近著しく低下していた。
病院内死亡でも診療関連死に相当するものはコロナー経由で解剖され経費は州政府が公的に負担している。それ以外の病院剖検は病院も遺族も経費負担を望まず剖検は減少の一途をたどっている。
システムのコストについても多く意見が出されており財政的に公的な支出の重要性を再確認した。
またオーストリア・ハンガリーの調査では、剖検率は世界標準からみて高く基本的には法律的に病理解剖がされており、両国ともに病理解剖施行に対し国民の理解が得られており経費は国が負担していた。オーストラリアの調査では剖検率は日本同様最近著しく低下していた。
病院内死亡でも診療関連死に相当するものはコロナー経由で解剖され経費は州政府が公的に負担している。それ以外の病院剖検は病院も遺族も経費負担を望まず剖検は減少の一途をたどっている。
結論
日本国民の剖検に対する認知度はかなり低い。
また剖検に対する抵抗感も高くこれは病院側の誠意だけでは解決できない。
国が国民に本来持っている権利と世界の情況も含めて啓発する必要がある。オーストリア・ハンガリーでは剖検が法律的になされる仕組みとなっていた。
つまり病院側が積極的に意欲を示せば剖検率は保たれることになり、経費も国負担なので剖検の妨げになる因子が極めて少ない。
国民全体に剖検の必要性が認知されているが、日本とほぼ同様の臨床診断と病理診断の不一致率があり、その克服のために事実を解明することに対しての積極性が剖検率が保たれている大きな要因と考えられた。
また剖検に対する抵抗感も高くこれは病院側の誠意だけでは解決できない。
国が国民に本来持っている権利と世界の情況も含めて啓発する必要がある。オーストリア・ハンガリーでは剖検が法律的になされる仕組みとなっていた。
つまり病院側が積極的に意欲を示せば剖検率は保たれることになり、経費も国負担なので剖検の妨げになる因子が極めて少ない。
国民全体に剖検の必要性が認知されているが、日本とほぼ同様の臨床診断と病理診断の不一致率があり、その克服のために事実を解明することに対しての積極性が剖検率が保たれている大きな要因と考えられた。
公開日・更新日
公開日
2011-05-30
更新日
-