画期的C型肝炎ウイルス阻害療法の確立を目指した核酸医薬送達ナノシステムの開発

文献情報

文献番号
201030048A
報告書区分
総括
研究課題名
画期的C型肝炎ウイルス阻害療法の確立を目指した核酸医薬送達ナノシステムの開発
課題番号
H22-肝炎・若手-017
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
吉岡 靖雄(大阪大学臨床医工学融合研究教育センター 薬学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 吉川 友章(大阪大学大学院 薬学研究科 毒性学分野)
  • 形山 和史(大阪大学大学院 薬学研究科 分子生物学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
C型肝炎ウイルス(HCV)に対する核酸医薬が、既存の治療法の問題点を克服し得る可能性を秘めていることから、次世代型画期的医薬品として注目されている。しかし核酸医薬は一般に、体内安定性・組織特異性・細胞内移行能の乏しさといった致命的欠点から十分な治療効果を発揮できず、これらを克服し得る方法の開発が待望されている。当該研究では、ナノマテリアルによる「siRNA・アンチセンスなど核酸医薬の肝臓送達システムの新規開発」を図り、HCVに対する次世代治療戦略を提示する。
研究方法
直径70 nmの非晶質ナノシリカ(nSP70)の表面をカルボキシル基やアミノ基で修飾したnSP70-CやnSP70-N、4種類のQドットなどを用いて検討した。
結果と考察
研究代表者はこれまでに、直径70 nmの非晶質ナノシリカ(nSP70)が、100 nm以上の素材とは異なる体内動態を有し、静脈内投与後80-90%が肝実質細胞などの肝臓組織に移行することを明らかとしている。さらに、nSP70は強い急性毒性を示すものの、表面をカルボキシル基やアミノ基で修飾したnSP70-CやnSP70-Nは全く急性毒性を示さないことを明らかとしている。そこで、nSP70-CやnSP70-Nの体内動態をマウスを用いて検討した。その結果、nSP70-CやnSP70-Nも、nSP70と同様に、静脈内投与後、肝臓に集積することが明らかとなった。また、4種類のQドットを用い、in vitroでの細胞内移行能とマウスでの体内動態を評価した。その結果、in vitroでは、表面が細胞内移行ペプチドで修飾されたQドットが最も細胞内移行に優れていた。一方で、マウスに静脈内投与後の体内動態を検討した結果、PEG修飾Qドットが肝臓に選択的に移行することが明らかとなり、優れた肝臓デリバリーキャリアーになり得る可能性が示された。さらに、Venus及びFirefly luciferase遺伝子を同時に発現するレンチウイルスベクターを構築した上で、ナノマテリアルの核酸医薬送達能を簡便に定量可能な細胞評価系を構築した。
結論
平成22年度は当初の予定通り研究が進行したと考えている。平成23年度も、これら基盤情報を発展させ、より加速して当該研究を推進する予定である。

公開日・更新日

公開日
2011-06-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201030048Z