膜蛋白質発現系を利用したC型肝炎ウイルス感染受容体の生化学的・疫学的解析及び感染阻害剤の開発

文献情報

文献番号
201030043A
報告書区分
総括
研究課題名
膜蛋白質発現系を利用したC型肝炎ウイルス感染受容体の生化学的・疫学的解析及び感染阻害剤の開発
課題番号
H21-肝炎・若手-016
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
阿部 康弘(独立行政法人医薬基盤研究所 創薬基盤研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤 昌夫(大阪大学大学院薬学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
4,835,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
周知のように、C型肝炎治療の基本戦略の第一は肝細胞中のC型肝炎ウイルス(HCV)を排除すること、第二はHCVの新規感染を阻害することにある。現在までに、HCV排除活性を有するインターフェロン療法の進歩により、C型肝炎の奏効率は50%まで改善されているものの、重篤な副作用も報告されており、耐性ウイルスの出現、高ウイルス量患者には効果が乏しいことから、HCV感染阻害薬、感染受容体アンタゴニストの創出が急務となっている。しかしながら、HCV感染受容体をintactな状態で精製するのが困難なこと、抗原性が低く細胞外領域に対する抗体の作製に成功した例が少ないことから、HCV感染機構の生化学的解析は遅々として進展していない。そこで本研究は、1)出芽バキュロウイルス(BV)膜蛋白質発現系を利用した感染受容体の生化学的解析によりHCV感染機構を詳細評価し、2)独自のアンタゴニスト創出技術を活用して作製したHCV感染受容体アンタゴニストを出発材料として、生体内安定性、阻害域を改変した感染阻害薬を創出することを目的とする。
研究方法
本年度は、昨年度までに創製したSR-BI、CD81、claudin-1、occludinのHCV感染受容体発現BVをそれぞれ用いたHCV感染阻害実験を行うとともに、二種類のHCV感染受容体を発現したBV作製条件を検討した。さらに、感染阻害分子創製のパイロットスタデイとして、claudin-1発現BV、occludin発現BVを免疫原として利用したアンタゴニスト一本鎖抗体(scFv)提示ファージライブラリを構築した。
結果と考察
各種single感染受容体提示BVのHCV感染阻害活性をHCVpp(ルシフェラーゼ発現によりHCV感染を評価可能)により解析したところ、いずれのsingle感染受容体提示BV処理でもHCV感染阻害活性が認められないことを明らかとした。以上の結果より、HCV感染には複数の感染受容体が関与しているものと推察される。さらに、claudin-1発現BV、occludin発現BVをマウスに免疫し、脾臓のcDNAを用いてscFv遺伝子を増幅することで、十分な多様性を有するファージ抗体ライブラリの構築に成功した。
結論
作製したHCV感染受容体発現BVを用いることで、HCV感染機構の解明及びHCV感染受容体に対するアンタゴニストの創製が期待される。

公開日・更新日

公開日
2011-06-06
更新日
-

収支報告書

文献番号
201030043Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,835,000円
(2)補助金確定額
4,835,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 0円
間接経費 0円
合計 0円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2015-06-03
更新日
-