B型慢性肝炎に対する新規逆転写酵素阻害剤テノホビルの有効性・安全性に関する検討

文献情報

文献番号
201030027A
報告書区分
総括
研究課題名
B型慢性肝炎に対する新規逆転写酵素阻害剤テノホビルの有効性・安全性に関する検討
課題番号
H22-肝炎・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
三田 英治(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター(臨床研究センター) 消化器科)
研究分担者(所属機関)
  • 八橋 弘(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センター)
  • 中牟田 誠(独立行政法人国立病院機構九州医療センター(臨床研究センター))
  • 室 豊吉(独立行政法人国立病院機構大分医療センター 消化器科)
  • 肱岡 泰三(独立行政法人国立病院機構大阪南医療センター(臨床研究部))
  • 佐藤 丈顕(独立行政法人国立病院機構小倉医療センター 肝臓病センター)
  • 小松 達司(独立行政法人国立病院機構横浜医療センター 消化器内科)
  • 眞野 浩(独立行政法人国立病院機構仙台医療センター 消化器科)
  • 島田 昌明(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 消化器科)
  • 小林 正和(独立行政法人国立病院機構まつもと医療センター松本病院 消化器内科)
  • 正木 尚彦(国立国際医療センター国府台病院 消化器科)
  • 黒川 幸典(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 外科)
  • 太田 肇(独立行政法人国立病院機構金沢医療センター 消化器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
47,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
35歳以上の核酸アナログ未治療B型慢性肝疾患に対して、本邦では治療ガイドラインでエンテカビルが推奨されている。しかしエンテカビルの保険認可前は、ラミブジンが頻用され、耐性化例に対してはアデホビルが併用されてきた。しかし長期投与例の中にはラミブジン・アデホビル併用療法に対する反応が不良で、両剤に耐性化を示す症例が出てきており、テノホビルの適応と考える。本研究は、核酸アナログ多剤併用療法の反応不良例および耐性化例に対するテノホビルの有効性・安全性を検証することを目的とした。
研究方法
有効性を検証するため、ラミブジン・アデホビル併用療法を開始して2年以上経過してもHBV-DNAが4 log copies/mL未満にならない反応不良例に対し、アデホビルをテノホビルに切り替える臨床試験を勘案した。また多剤耐性化を呈し、アデホビルをテノホビルに切り替えた症例の治療効果の集積を行った。一方、安全性に関しては、テノホビルの原型であるアデホビルの腎機能障害、HIV感染症治療薬として用いられたテノホビルの腎機能障害について検討した。
結果と考察
まず有効性の検討であるが、反応不良例に対する切り替え臨床試験は、患者背景をマッチした集団をコントロールとした2群比較試験でデザインし、一次評価項目を試験開始24ヶ月目のHBV-DNAの陰性化率(2.1 log copies/mL未満)とした。医療統計家の助言によりたてた仮説のもと、対象を25例と設定し、研究参加施設のIRB承認を得て、試験を開始することができた。またラミブジン・アデホビル両剤に耐性化し、アデホビルからテノホビルへの切り替えた症例では、HBV-DNAの低下を認め、長期経過観察中である。一方、安全性に関しては、ラミブジン・アデホビル併用56例中0.4mg/dL以上のクレアチニン上昇を認めた症例が3例(5.4%)あり、テノホビルを含んだHAART治療57例では有意なクレアチニン上昇を2例(3.5%)に認めた。いずれも減量・休薬で対応可能であったが、テノホビル治療における課題と考える。
結論
多剤耐性化例では、アデホビルからテノホビルへの切り替え効果が認められ、今後ラミブジン・アデホビル併用療法反応不良例での検証が必要と考える。テノホビル治療では数%に腎機能障害が認められ、安全性に対する注意が必要である。

公開日・更新日

公開日
2011-06-06
更新日
-

収支報告書

文献番号
201030027Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
54,510,000円
(2)補助金確定額
54,510,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 0円
間接経費 0円
合計 0円

備考

備考
分担研究者が通帳をつくる際、1000円を預け入れたための1000円と、利息が発生したための242円の計1242円の差異が出ています。すでに報告済みです。

公開日・更新日

公開日
2018-03-20
更新日
-