血小板低値例へのインターフェロン治療法の確立を目指した基礎および臨床的研究

文献情報

文献番号
201030018A
報告書区分
総括
研究課題名
血小板低値例へのインターフェロン治療法の確立を目指した基礎および臨床的研究
課題番号
H21-肝炎・一般-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
西口 修平(兵庫医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 有井 滋樹(東京医科歯科大学 医学部)
  • 山本 和秀(岡山大学 医学部)
  • 工藤 正俊(近畿大学 医学部)
  • 日野 啓輔(川崎医科大学 医学部)
  • 河田 則文(大阪市立大学 医学部)
  • 八橋 弘(国立病院機構長崎医療センター)
  • 福井 博(奈良県立医科大学 医学部)
  • 上田 佳秀(京都大学 医学部)
  • 内村 直尚(久留米大学 医学部)
  • 井出 達也(久留米大学 医学部)
  • 林 純(九州大学 医学部)
  • 冨山 佳昭(大阪大学 医学部)
  • 柏木 徹(兵庫医科大学 医学部)
  • 渡辺 恭良(独立行政法人理化学研究所)
  • 筒井 ひろ子(兵庫医科大学 医学部)
  • 池田 一雄(名古屋市立大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我国の患者は高齢で汎血球減少例が多いのでIFNやRBVの副作用が強く発現する。患者背景の異なる海外では問題にされておらず、日本が独自に解決すべき課題である。本研究の目的は汎血球減少例などの難治例に対する安全で有効性の高いIFN投与法の確立である。
研究方法
本研究班では、アンケート調査や班主導の多施設研究と、分担研究者が行う個別研究を行う。全体研究と個別研究は協調的に遂行する。
①PSEや脾摘の安全性と有効性に関する検討
基礎研究:脾摘後の生理学的な変化や感染抵抗性を検討。臨床研究:脾摘やPSEの死亡例の個別調査。多施設研究を継続し、IFN投与の前処置として脾摘などを行うことの是非を検討する。
②治療難渋例に対する安全で有効性の高いIFN治療法の確立
IFN少量投与とPSEや脾摘後のPEG-IFN・RBV併用療法との優劣を検討する合同研究を継続する。これらの研究成果を集大成し、PSEや脾摘の適応を明確化した血小板低値例に対するIFNの治療指針を策定する。
結果と考察
結果
(1) アンケート調査:肝疾患専門病院を対象に調査。脾摘788例中7例、PSE474例中4例が死亡し、肺炎球菌ワクチンの接種率は低い。
(2) 班全体研究:血小板低値例へのIFN治療成績は、血小板数が(13万以上/未満)では、完遂率は(56%/16%)、SVR率は(45%/24%)。1b・高HCV量では脾摘をしても有効率が低い。1b・高HCV量全体では、SVRがIL-28b TT:20%、TG/GG:11%。
考察
血小板低値例では、減量のためIFN治療の有効率が低い。PSEや脾摘はIFNの減量を防ぐが、肝病態を改善しない。合併症と治療効果を勘案すれば、IFNのために行うPSEや脾摘について、適応の厳格化が必要である。
結論
本研究によって、血小板低値例では減量や中止が多く、SVR率が低率であることが明らかにされた。その対策としてPSEや脾摘が多くの施設で行われているが、多くの合併症が発症すること、肺炎球菌ワクチンなどの対策も十分行われていないこと、などの問題点が明らかになった。さらに、難治例では、脾摘を行ってもSVR率の改善はわずかであり、合併症のことを勘案すれば脾摘などの適応は厳正化すべきであると結論した。

公開日・更新日

公開日
2011-06-06
更新日
-

収支報告書

文献番号
201030018Z