慢性C型肝炎のインターフェロン療法における幹細胞機能の変化とうつ病発症に関する基礎・臨床連携研究

文献情報

文献番号
201030017A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性C型肝炎のインターフェロン療法における幹細胞機能の変化とうつ病発症に関する基礎・臨床連携研究
課題番号
H21-肝炎・一般-006
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
澤本 和延(公立大学法人 名古屋市立大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 金子 奈穂子(公立大学法人 名古屋市立大学 大学院医学研究科 )
  • 竹内 浩(名古屋市立大学大学院医学研究科 精神・認知・行動医学 精神医学)
  • 田中 靖人(名古屋市立大学大学院医学研究科 ウイルス学分野 肝臓病学・ウイルス学)
  • 野尻 俊輔(名古屋市立大学大学院医学研究科 消化器・代謝内科学分野 肝臓病学)
  • 島田 昌一(大阪大学大学院医学系研究科 神経細胞生物学 神経科学・神経化学・神経解剖学)
  • 早川 達郎(国立国際医療研究センター国府台病院 精神科 臨床精神医学)
  • 今村 雅俊(国立国際医療研究センター国府台病院 消化器科 肝臓病学・消化器病学)
  • 日野 啓輔(川崎医科大学医学部 肝胆膵内科 肝臓病学・酸化ストレス)
  • 岡野 栄之(慶應義塾大学医学部 生理学教室 分子神経生物学)
  • 中島 欽一(奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科・分子神経分化制御学講座 神経科学・分子生物学)
  • 等 誠司(生理学研究所・分子生理研究系 神経発生学・臨床神経学)
  • 鵜飼 渉(札幌医科大学医学部 神経精神医学講座 神経精神薬理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
慢性C型肝炎のインターフェロン(IFN)療法における重大な副作用の一つであるうつ病の神経病理学的機構には不明な点が多い。そこで本課題では、脳内の海馬に存在する神経幹細胞に着目した新しい視点によって、IFN誘発性うつ病の発症のメカニズムを解明するとともに、発症リスクの評価方法の確立と有効な予防方法・治療法の開発を目指して研究を行っている。
研究方法
上述の目標を達成するため、12名の分担研究者からなる研究班を組織した。基礎研究では、研究代表者と5名の分担研究者が、相互に関連した課題について様々なアプローチでIFNと神経幹細胞および抑うつ症状の関連について、協力して研究に取り組んでいる。臨床研究においては、臨床研究責任者である竹内が他の精神科・内科臨床医との連携を図り、効率良く多施設共同研究を推進する体制となっている。
結果と考察
基礎研究においては、海馬の幹細胞に着目して解析を行い、ニューロン新生のメカニズム解明(岡野)、IFNを投与したマウス(澤本)およびマーモセット(金子)のニューロン新生及び抑うつ状態の解析、培養神経幹細胞へのIFNの作用の解析(等)、内在性IFNの発現誘導に関与する可能性のある受容体の解析(中島)、及び血小板から遊離するBDNFの解析(鵜飼)を行い、重要なデータを取得した。
臨床研究については、野尻、田中、竹内は名市大病院で症例集積中である。今村・早川は血中IL-6濃度がうつ病群で高いことを見いだした。島田は、うつ病と診断されている53例についてセロトニントランスポーターの遺伝子多型を解析中である。日野は、所属機関の倫理委員会に研究を申請中であり、承認後に症例の集積を行う予定である。
結論
基礎研究においては、活発な分担研究を行い、IFNによる神経幹細胞機能の変化と抑うつ症状の解析に関する各自の計画を実施して学術的に重要な成果が得られた。3年目以降に行う予定の動物実験等の準備も順調に進んでおり、今後の進展が期待できる。臨床研究は2010年中に50例がエントリーされた。今後は多施設共同研究分も含めて症例数を増やしていく予定である。3年計画の2年目の目標について、概ね達成できたと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2011-06-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201030017Z