文献情報
文献番号
201030016A
報告書区分
総括
研究課題名
C型肝炎難治症例の病態解明と抗ウイルス治療に関する研究
課題番号
H21-肝炎・一般-005
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
竹原 徹郎(大阪大学大学院 医学系研究科 消化器内科学)
研究分担者(所属機関)
- 泉 並木(武蔵野赤十字病院 消化器科 )
- 伊藤 義人(京都府立医科大学 医学系研究科 消化器内科学)
- 金子 周一(金沢大学医薬保健研究域医学系恒常性制御学)
- 永野 浩昭(大阪大学大学院 医学系研究科 消化器外科学)
- 坂本 直哉(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 分子肝炎制御学)
- 芥田 憲夫(虎の門病院 肝臓センター )
- 野村 秀幸(国家公務員共済組合連合会新小倉病院肝臓病センター)
- 林 紀夫(独立行政法人労働者健康福祉機構関西労災病院 )
- 平松 直樹(大阪大学大学院 医学系研究科 消化器内科学)
- 三田 英治(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 臨床研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
36,540,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
PEG-IFN/RBV治療に無効・再燃であった患者群、肝移植後C型肝炎、線維化進展/血小板減少例を「C型肝炎難治症例」として捉え、このような患者群における根治を目指した抗ウイルス治療の戦略を構築するとともに難治化のメカニズムを解明することを目的に研究を行う。
研究方法
1)PEG-IFN/RBV併用治療の再治療効果の多施設共同解析
2)PEG-IFN/RBV/TVR治療の抗ウイルス効果の解析
3)PEG-IFN/RBV、PEG-IFN/RBV/TVR治療に対して抵抗性の患者群の臨床的背景および病態の解析
4)C型肝炎の難治化メカニズムの解明
2)PEG-IFN/RBV/TVR治療の抗ウイルス効果の解析
3)PEG-IFN/RBV、PEG-IFN/RBV/TVR治療に対して抵抗性の患者群の臨床的背景および病態の解析
4)C型肝炎の難治化メカニズムの解明
結果と考察
PEG-IFN/RBV併用治療により著効が得られなかった症例に対する再治療効果はGenotype 1で47%、Genotype 2で63%であった。Genotype 1においては初回治療p-EVR達成例あるいは再治療開始時低ウイルス量例(< 5 Log IU/ml)では著効が得られやすく、再治療の良い適応であると考えられた。また、初回治療再燃例での再治療においては、初回治療に比しRBV投与量が増加し、投与期間が延長した症例では著効が得られやすいことが示された。
PEG-IFN/RBVに対するnull-responseにはIL-28BのSNP、コアアミノ酸置換が関与していた。IL-28B minor alleleの症例はコアアミノ酸置換を有することが多く両者の間には複雑な関係が予測された。
PEG-IFN/RBV/TVRのSVR率は初回治療例76%、前治療再燃例90%、前治療無効例27%であった。コアアミノ酸70番野生型とIL28B major alleleがSVRに寄与する独立因子であった。
C型肝炎では肝疾患が進展すると血小板が減少するが、血小板減少が肝線維化を増悪させることが明らかとなり、vicious circleが形成されることが示された。また、線維化進展例では脾臓でのCD4 T細胞のPD-1発現が増強し免疫を負に制御している可能性が示された。肝臓の線維化はFisher比を低下させ、肝臓でのmTOR活性の低下がIFN応答性を不良にしていることが示された。
PEG-IFN/RBVに対するnull-responseにはIL-28BのSNP、コアアミノ酸置換が関与していた。IL-28B minor alleleの症例はコアアミノ酸置換を有することが多く両者の間には複雑な関係が予測された。
PEG-IFN/RBV/TVRのSVR率は初回治療例76%、前治療再燃例90%、前治療無効例27%であった。コアアミノ酸70番野生型とIL28B major alleleがSVRに寄与する独立因子であった。
C型肝炎では肝疾患が進展すると血小板が減少するが、血小板減少が肝線維化を増悪させることが明らかとなり、vicious circleが形成されることが示された。また、線維化進展例では脾臓でのCD4 T細胞のPD-1発現が増強し免疫を負に制御している可能性が示された。肝臓の線維化はFisher比を低下させ、肝臓でのmTOR活性の低下がIFN応答性を不良にしていることが示された。
結論
PEG-IFN/RBV治療非奏効例に対する日本での再治療効果が明らかにされ、再治療が推奨される患者集団が示された。PEG-IFN/RBV/TVRの治療効果と難治要因が明らかになった。難治性C型肝炎の病態の一端が示された。
公開日・更新日
公開日
2011-06-02
更新日
-