文献情報
文献番号
201030012A
報告書区分
総括
研究課題名
B型肝炎の核酸アナログ薬治療における治療中止基準の作成と治療中止を目指したインターフェロン治療の有用性に関する研究
課題番号
H21-肝炎・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
田中 榮司(国立大学法人 信州大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 鈴木 義之(国家公務員共済組合連合 虎の門病院 肝臓センター)
- 新海 登(公立大学法人 名古屋市立大学 大学院医学研究科)
- 平松 直樹(国立大学法人 大阪大学 大学院医学研究科)
- 狩野 吉康(JA北海道厚生連 札幌厚生病院)
- 柘植 雅貴(国立大学法人 広島大学 自然科学研究支援開発センター)
- 今関 文夫(国立大学法人 千葉大学 医学部)
- 髭 修平(北海道大学病院)
- 八橋 弘(国立病院機構 長崎医療センター)
- 齋藤 正紀(学校法人 兵庫医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
28,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
B型肝炎の核酸アナログ薬(NA)治療における同薬の効率的な中止基準を作成するとともに、中止を目指したIFNシークエンシャル治療の有用性を検討した。
研究方法
NA薬中止基準の検討では、中止後6ヶ月以上観察可能であり、各種測定結果が揃った126例を対象とした。最終的にALT < 30 IU/LかつHBV DNA < 4.0 log copy/mlで安定することを目標とした。中止を目指したシークエンシャル治療の検討では58例を対象とした。
結果と考察
中止基準の検討では、ALT値とHBV DNA量は中止後の平均値と最高値が強い相関関係にあり、ALT値が80 IU/L以上、またはHBV DNA量が5.8 log copy/ml以上となる場合を再燃と判定可能であった。126例中、中止時HBV DNA > 3.0 log copy/mlまたはHBe抗原陽性例は高率に肝炎が再燃したため中止対象外と判断した。肝炎再燃と関連する因子を多変量解析で検討した結果、NA薬投与期間、中止時HBcr抗原量、中止時HBs抗原量が有意の因子であった。ROC解析でcut-off値を検討した結果、HBcr抗原量は3.0と4.0 log U/ml、HBs抗原量は1.9と2.9 log IU/mlとなった。これらのスコア化はNA薬中止基準の指標として有用であった。
シークエンシャル治療では、NA薬開始時HBe抗原陽性例では終了時にHBe抗原が陰性化していることが、一方、開始時HBe抗原陰性例では終了時にHBV DNAが陰性化していることとNA薬治療期間が2年以上あることが著効と有意に関連していた。
シークエンシャル治療では、NA薬開始時HBe抗原陽性例では終了時にHBe抗原が陰性化していることが、一方、開始時HBe抗原陰性例では終了時にHBV DNAが陰性化していることとNA薬治療期間が2年以上あることが著効と有意に関連していた。
結論
NA薬中止基準の検討で以下の結論を得た。(1)中止後、ALT値が80 IU/L以上、またはHBV DNA量が5.8 log copy/ml以上となる場合は再投与を考慮すべきである。(2)HBeAg陰性およびHBV DNA < 3.0 log copy/mlは中止の必要条件である。(3)中止時のHBs抗原量とHBcr抗原量を組み合わせることにより肝炎再燃を効率よく予測することが可能であった。(4)NA薬投与期間は、2年以上が望ましい。
NA薬中止を目指したシークエンシャル治療では、NA薬中止時にHBeAg陰性であること、HBV DNAが陰性化していること、およびNA薬治療期間が約2年以上あることが著効と関連していた。
NA薬中止を目指したシークエンシャル治療では、NA薬中止時にHBeAg陰性であること、HBV DNAが陰性化していること、およびNA薬治療期間が約2年以上あることが著効と関連していた。
公開日・更新日
公開日
2011-06-02
更新日
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