文献情報
文献番号
201029041A
報告書区分
総括
研究課題名
霊長類ゲノム情報を利用した抗エイズウイルス自然免疫因子の探索およびその新規エイズ治療法への応用
研究課題名(英字)
-
課題番号
H22-エイズ・若手-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
武内 寛明(東京大学医科学研究所 感染症国際研究センター 感染制御系 微生物学分野)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
SIVが「種の壁」を乗り越えてヒトへ感染伝播する際に関わる自然免疫因子(群)およびHIV感染制御ヒト宿主因子(群)を同定することにより、新規エイズ治療法に向けての基盤確立に寄与すること、および今後の新興感染症に対するヒト宿主防御機構に対する理解を深めることが目的である。
研究方法
(1)宿主機能遺伝子発現抑制T細胞ライブラリーの作製およびHIV/SIV感染制御宿主因子群の探索:宿主遺伝子(約1万8千遺伝子)を標的としたshort hairpin RNA (shRNA)ライブラリー安定発現T細胞株を作製した。次にこれらT細胞ライブラリーを用いてHIVおよびSIV感染耐性T細胞株を選択し、shRNA配列が標的としている宿主機能遺伝子を同定した。
(2)SIV遺伝子変異株の作製:キャプシド(CA)領域内においてHIV遺伝子と異なる遺伝子配列をもとに変異導入を行い、SIV-CA変異遺伝子を作製した。
(2)SIV遺伝子変異株の作製:キャプシド(CA)領域内においてHIV遺伝子と異なる遺伝子配列をもとに変異導入を行い、SIV-CA変異遺伝子を作製した。
結果と考察
機能遺伝子配列を標的としたshRNAライブラリーによる遺伝子発現抑制T細胞株を樹立することが出来た。これらT細胞ライブラリーを用いて、HIV感染制御宿主因子群とSIV感染制御宿主因子群とを同定した。次に、ヒトT細胞内における感染前期過程に影響をおよぼすSIV遺伝子領域として、ウイルス構造蛋白の一つであるCA蛋白のC末端側(CTD)に位置するアミノ酸部位を同定することが出来た。
当該研究で同定した宿主因子群は、既知のHIV感染必須因子群も含まれていたことから、樹立したT細胞ライブラリーおよびウイルス感染制御遺伝子探索法の妥当性が認められたと考えられる。SIV変異株を用いた研究では、ヒトT細胞への感染増殖能には、CA-CTDの領域が必須であることが分かった。ところが、SIV CA-CTDのサルT細胞での感染増殖能は野生SIV株と同等であることから、変異による粒子形成能の低下よりもむしろヒト宿主因子にのみ影響を受けるものであると考えられる。
当該研究で同定した宿主因子群は、既知のHIV感染必須因子群も含まれていたことから、樹立したT細胞ライブラリーおよびウイルス感染制御遺伝子探索法の妥当性が認められたと考えられる。SIV変異株を用いた研究では、ヒトT細胞への感染増殖能には、CA-CTDの領域が必須であることが分かった。ところが、SIV CA-CTDのサルT細胞での感染増殖能は野生SIV株と同等であることから、変異による粒子形成能の低下よりもむしろヒト宿主因子にのみ影響を受けるものであると考えられる。
結論
当該研究事業初年度で機能遺伝子発現抑制T細胞ライブラリーの構築に成功し、HIVおよびSIV感染制御宿主因子候補群を多数見出す事が出来た。またSIVのヒトへの感染にはCA-CTDが重要であることを見出した。これらの成果は、世界中で他の研究グループが成し得ていないものであり、継続する価値が非常に高いものと思われる。
公開日・更新日
公開日
2014-05-26
更新日
-