多施設共同研究を通じた新規治療戦略作成に関する研究

文献情報

文献番号
201029025A
報告書区分
総括
研究課題名
多施設共同研究を通じた新規治療戦略作成に関する研究
課題番号
H22-エイズ・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
岡 慎一((独)国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター)
研究分担者(所属機関)
  • 田邊 嘉也(新潟大学医歯学総合病院 第二内科)
  • 田沼 順子((独)国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、現在進行中のET studyと新たに開始する2つの臨床研究(EACH cohort, SPARE 試験)からなる。この班による多施設臨床研究を通じて、日本からの成績を世界に向け発信することを目的としている。
研究方法
①ET studyでは、48週の観察期間を終了、先行研究のQD studyと併せ、副作用を重点にまとめる。
②急性期の病状進行解析研究では、データベース構築が終了した。この研究は、それぞれの協力施設がデータを収集するため、East Asia Clinical HIV Cohort (EACH Cohort)と命名した。③新しい治療法を目指した臨床試験は、LPV/r+TVDで治療している患者を組み入れ、くじ引きにて、同じ治療継続群とDRV/r+RALのNRTI spare群に割り付け、腎機能の経過を観察することを主目的とした多施設共同のRCTである。本臨床試験は(Switch to Prizista And Raltegravir to Evaluate estimated glomerular filtration rate)SPARE試験とした。
結果と考察
①ET studyでは、組み入れ数が109例であり、予定していた210例には届かなかった。このため、非劣性を証明することが不可能であり、副作用を中心に解析する。②EACH Cohortでは、平成22年12月現在までに、当院において24例が早期HIV感染症と診断され、うち12例から研究参加の同意を得た。すべて男性同性間の性的接触により国内で感染した者であった。③SPARE試験は、腎機能の経過を観察することを主目的とし、副次目的としてNRTI spareによる治療成功率や、脂質代謝異常の経過なども検討する。主目的を腎機能の改善におくことにより、対象症例数を54例に絞ることができた。
今回の3つの多施設共同研究が行われることにより、1)日本人に特徴的なNRTIの副作用を明らかにすることができる。2)最近の日本人の病状の進行が明らかになり、HIV感染症の病態解明の大きな成果となる。3)新しい組み合わせによる治療法が可能となれば、長期治療を見据えた治療戦略が可能となる。また、直接得られる研究成果以外にも、多施設共同臨床試験が継続的に行われることにより、多施設RCTを行う基盤整備にもつながる。
結論
3つの多施設共同研究は、予定通り進行している。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201029025Z