文献情報
文献番号
201029011A
報告書区分
総括
研究課題名
血液製剤によるHIV/HCV重複感染患者に対する肝移植のための組織構築
課題番号
H21-エイズ・一般-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
兼松 隆之(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
- 上平 憲(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
- 山下 俊一(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 附属原爆後障害医療研究施設)
- 安岡 彰(長崎大学病院 感染制御教育センター)
- 澄川 耕二(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
- 塚崎 邦弘(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
- 中尾 一彦(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
- 有吉 紅也(長崎大学 熱帯医学研修所)
- 八橋 弘(独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター臨床研究センター)
- 江口 晋(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
- 白阪 琢磨(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター臨床研究センター)
- 酒井 英樹(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
- 山本 太郎(長崎大学 熱帯医学研究所)
- 國土 典宏(東京大学大学院医学系研究科外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
48,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
血液製剤によるHIV/HCV重複患者に対する肝移植の組織を構築にするにあたり、実際に肝移植の適応となる患者がどの程度存在するのか、また同患者群に特徴的な病態を把握することにより、これらの症例に対するより適切な肝移植適応基準を作成する事を目的とした。
研究方法
薬害によるHIV/HCV重複感染患者のうち、社会福祉法人はばたき福祉事業団の管理下にある648例の予後を調査した。また、全国よりHIV/HCV重複患者を受け入れ、長崎大学病院の個室を専有化し、二泊三日の短期入院中に肝機能検査(血算、凝固能、生化学検査、ICG15分値、アシアロ肝シンチ、)腫瘍マーカー(AFP、PIVKA-II)、HCV-RNA、また、画像診断として腹部造影CT、さらに内視鏡検査で食道静脈瘤の有無をチェックした。
研究に当たっては倫理面に十分配慮し、長崎大学病院での倫理委員会の承諾を得た。
研究に当たっては倫理面に十分配慮し、長崎大学病院での倫理委員会の承諾を得た。
結果と考察
長崎大学では、他疾患に対する肝移植は22例施行し、手術手技および周術管理は安定している。また、関連疾患としてHIV感染を合併した慢性腎不全症例に生体腎移植を施行し、周術期管理にあたった。Child-Pugh分類の項目に門脈血栓と食道静脈瘤の有無を加えた新たな肝移植適応基準を考案した。これらの所見つまり非硬変性門脈圧亢進症は文献的にも報告があり、HAART療法、特にDidanosineによる副作用として米国FDAより頻度は稀であるが重篤な副作用として発症リスクを警告する勧告がなされており、当研究班の検診結果はこれを裏付けるものと判断し事態を重視、API‐Netへ健康危険情報として通報した。
結論
Child-Pugh分類の項目に門脈血栓と食道静脈瘤の有無を加えたものを、HIV/HCV重複感染者に対する肝移植適応基準として提案した。HIV/HCV重複感染者における肝障害の病態はかくも複雑であり、さらに血友病も相まって、周術期管理は困難なことが予想されるが、問題点が徐々に明らかになっており、従来の成績を凌駕できるプロトコール確立に向け、準備が整いつつある。
我々が提案した新たな肝移植適応基準に合致する症状が、脳死肝移植の待機患者として登録されれば周術期管理の進歩と相まって今後生命予後の改善に大きく寄与する可能性がある。
我々が提案した新たな肝移植適応基準に合致する症状が、脳死肝移植の待機患者として登録されれば周術期管理の進歩と相まって今後生命予後の改善に大きく寄与する可能性がある。
公開日・更新日
公開日
2014-05-26
更新日
-