血友病とその治療に伴う合併症の克服に関する研究

文献情報

文献番号
201029008A
報告書区分
総括
研究課題名
血友病とその治療に伴う合併症の克服に関する研究
課題番号
H21-エイズ・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
坂田 洋一(自治医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 小澤 敬也(自治医科大学 医学部)
  • 嶋 緑倫(奈良県立医科大学 小児科)
  • 高橋 将文(自治医科大学 医学部)
  • 長谷川 護(ディナベック株式会社)
  • 瀧 正志(聖マリアンナ医科大学)
  • 稲葉 浩(東京医科大学 臨床検査医学講座)
  • 竹谷 英之(東京大学医科学研究所)
  • 柿沼 章子(社会福祉法人はばたき福祉事業団)
  • 大橋 一夫(東京女子医科大学 先端生命医科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
120,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
血友病遺伝子治療開始に向けた基礎研究、インヒビター対策、QOL改善と薬害HIV感染血友病患者の問題解決を図る調査。

研究方法
抗AAV8中和抗体測定感度を高め、サル、ヒトの抗体価を測定した。陰性サルは末梢血管から、陽性サルはバルーンカテーテルで血液回避してAAV8-FIXベクターを投与し、効果持続と安全性を検討した。班員が訪中し、中国VGT社にGMPレベルAAV8-FIXベクター作製を技術指導した。改変SIVベクターを用いて、自己間葉系幹細胞(MSC)にFVIII遺伝子導入し、血友病Aマウス関節内へ注入し、修復効果を検討した。ルシフェラーゼ、或いはFVIII遺伝子搭載MSCナノシートを、除去可能部位に貼り付けて発現を観察した。ITIモデルマウスの脾臓とリンパ節由来細胞を採取し、寛容誘導機作解析した。後方視的解析を基盤に前方視的に発症要因解析を進めた。発症関与因子の遺伝子解析の倫理審査を準備した。薬害HIV感染・非感染血友病患者に半構造化インタビュー調査法で、父親を中心とした遺伝問題を検討した。動物実験、臨床・疫学研究は文科省・厚労省倫理指針と各施設規約に従い施行した。
結果と考察
抗AAV中和抗体測定感度を世界一まで高めた。抗体はヒトでは約半数が陽性であった。抗体陰性・陽性サルに長期間治療レベル因子発現技術を確立した。VGT社作製GMPレベルベクターを輸入した。血友病Aクローンブタは特許申請中である。改変SIV-FVIIIベクター搭載MSCの関節内注入は障害を改善した。MSCナノシートの皮膚、腹腔内での発現が確認された。IgG2b・IgG3の低下とFVIII刺激によるCD4+T細胞増殖活性の有意な低下が確認できた。後方視的発症要因解析を、前方視的に確認している。患者サイトカインなどの遺伝子解析は拠点大学で倫理審査承認を受けた。インヒビター測定法は、Tokyo変法を検討した。血友病遺伝相談体制の不備と遺伝に無関係な父親の果たす役割に、問題があることが示唆された。
結論
血友病B遺伝子治療臨床研究は、技術的には開始可能である。改変SIVベクターも、関節出血修復に期待できる。インヒビター研究は高額治療への応用が、また、前方視的調査により、発生要因絞り込が期待できる。血友病患者家族の遺伝相談体制確立を急ぐ必要が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201029008Z