文献情報
文献番号
201029004A
報告書区分
総括
研究課題名
Vif/APOBEC3Gの相互作用を標的とした新規抗HIV-1薬の開発
課題番号
H20-エイズ・一般-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
高折 晃史(京都大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 梁 明秀(横浜市立大学 医学部)
- 木曽 良明(京都薬科大学 薬学部)
- 錦織 桃子(京都大学 医学研究科)
- 小林 正行(京都大学 医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
2,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
HIV-1感染は、HAARTの出現によりウイルス複製をある程度制御可能になったが、長期服用による副作用や薬剤耐性の出現が課題となっており、これらの克服に向け新規作用機序の抗HIV-1薬の早期開発が待たれている。HIV-1 Vifは、ウイルス複製およびAIDS発症に必須の蛋白であるが、その機能の本態は、本来HIV-1の標的細胞が有する抗HIV-1宿主因子APOBEC3Gを中和することであることが近年明らかにされた。Vifがウイルス複製にとって必須の蛋白であることより、VifとAPOBEC3Gおよびその相互作用は、新規の抗HIV-1薬の絶好の標的と考えられる。そこで本研究では、Vif/APOBEC3G両分子およびその相互作用を標的とした新規抗HIV-1の開発を目指した研究を行った。
研究方法
平成21年度までに行った1次、2次スクリーニングにより同定された、VifによるAPOBEC3Gのユビキチン依存性分解を阻害する24の候補化合物について、本年度はウイルス感染実験によりin vitroにおける抗HIV-1活性の確認、候補化合物の作用機序の同定およびリード化合物の選択とその機能解析を目的として研究を行った。また、分担研究者の梁による無細胞合成系を用いたスクリーニング系により平成21年度までに同定された253個の候補化合物について、本年度はイムノブロット法を用いた2次スクリーニングおよび候補化合物の作用機序の同定を目的とした研究を行った。
結果と考察
VifによるAPOBEC3Gのユビキチン依存性分解を阻害する化合物に関しては、ウイルス感染実験において2つの化合物がVif依存性の抗HIV-1活性を示すことを確認し、作用機序についてもVifによるAPOBEC3Gのユビチキン化より下流、プロテオソームより上流であることが判明した。さらに分担研究者の木曽により9つの類似化合物が抽出され、そのうち2つがAPOBEC3GのVifによる分解を阻害すること、さらにそのうちの1つがウイルス感染実験により抗HIV-1活性を示すことが判明した。また、無細胞合成系スクリーニングで得られた253の候補化合物のうち3つの候補化合物がVifによるAPOBEC3Gのユビキチン化および分解を阻害することを確認した。
結論
本研究により、新規の抗HIV-1薬の候補となる低分子化合物を合計6つ同定することができたが、これらの実用化に向けてさらに研究が必要である。
公開日・更新日
公開日
2014-05-26
更新日
-