動物由来クラミジアの自然界における存在様式の解明-比較ゲノム解析及び種特異的診断法の開発と実態調査

文献情報

文献番号
201028054A
報告書区分
総括
研究課題名
動物由来クラミジアの自然界における存在様式の解明-比較ゲノム解析及び種特異的診断法の開発と実態調査
課題番号
H21-新興・若手-014
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
大屋 賢司(国立大学法人 岐阜大学 応用生物科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 福士 秀人(国立大学法人 岐阜大学 応用生物科学部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
8,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
オウム病クラミジアChlamydophila psittaciを始めとした、人獣共通感染症の原因となりうる動物由来クラミジアを対象とする。
#動物由来クラミジアの遺伝子・血清診断法を開発する。
#動物由来クラミジアの比較ゲノム解析により、種特異的診断法開発・自然界における存在様式解明のための技術基盤とする。
#鳥類を始めとした野生・飼育動物における実態調査を行う。
研究方法
#Illumina GSによりC.psittaci Mat116株ゲノムの再解読、由来、病原性の異なるC. psittaci近縁他種3種株の配列解読を行った。
#所属機関の倫理委員会にて承認された患者血清を用いて、診断用抗原候補(多型膜蛋白質Pmp)の有用性をELISAにて評価した。
#感染細胞内におけるクラミジア遺伝子発現プロファイルを、クラミジアアレイを用いて解析した。
結果と考察
#C.psittaci株間の比較ゲノム解析
C.psittaci Mat116株ゲノム配列を完全決定した。完全決定した配列をレファレンスに、他種株の配列決定に着手することができた。現在ギャップクローズを行っている。得られた配列情報を基に、遺伝子検出の標的や、感染細胞内における発現プロファイル解析が可能になった。
#C.psittaci種特異的な血清および遺伝子診断法の確立
Pmpは、感度の点に問題が残るものの、患者血清と反応することが示された。感度向上を目指し、エピトープ推定部位の合成ペプチド、他のPmpパラログを抗原とした検討を行っている。
#自然界におけるC.psittaci存在状況の実態調査
これまでに開発した遺伝子検出法を用いて、今年度は全国の動物病院からの依頼検体を初めとした152検体について調査した。陽性率は4%であり、2003年の調査(15%)に比べクラミジアの清浄化が進んでいることが示唆された。
#C.psittaci遺伝子発現プロファイル解析
解読したゲノム情報を基に、作製したC.psittaciアレイを用いて、感染細胞におけるクラミジア遺伝子発現を解析した。発現プロファイルは、クラミジアの感染ステージにより異なっていることが示唆され、次年度以降の、詳細な解析の基盤となった。
結論
#C.psittaci国内分離株ゲノム配列の完全決定を行い、他菌種株の配列決定に着手することができた。
#C.psittaci血清診断用抗原としてのPmpの有用性を評価した。
#開発した診断法を用いた実態調査を継続中である。
#C.psittaci感染細胞内における遺伝子発現プロファイルについての基礎的な情報を得ることができた。

公開日・更新日

公開日
2011-09-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201028054Z