培養細胞感染系の確立されていない病原体の実験技術の開発と予防診断法に関する研究

文献情報

文献番号
201028049A
報告書区分
総括
研究課題名
培養細胞感染系の確立されていない病原体の実験技術の開発と予防診断法に関する研究
課題番号
H22-新興・一般-017
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 哲朗(浜松医科大学 医学部医学科感染症学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 智之(堺市衛生研究所)
  • 片山 和彦(国立感染症研究所)
  • 本村 和嗣(国立感染症研究所)
  • 恒光 裕(動物衛生研究所)
  • 李 天成(国立感染症研究所)
  • 中西 章(国立長寿医療研究センター)
  • 石井 孝司(国立感染症研究所)
  • 勝二 郁夫(神戸大学医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
36,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
培養細胞での感染増殖系が確立されていないためにウイルス学的研究に制約があり、その感染症対策が十分でないウイルスについて、ウイルス様粒子(VLP)を利用した抗原抗体診断法の開発と血清疫学解析、実験モデルの開発とウイルス生活環の解析、宿主免疫応答の解析とワクチン開発、を包括的に行う。
研究方法
各ウイルス材料よりcDNAを単離、組換え抗原発現系を構築し、ウイルス様粒子の作製などを行った。
結果と考察
ノロウイルス:ヒトノロウイルス(NoV)の感染増殖モデルとして、マウスNoVの感染増殖系を樹立した。細胞内のウイルス蛋白分布、RNA合成などNoV複製機構に関する多くの知見を得た。NoVの免疫応答、流行機序解析に用いるため、2006?2007年流行株の発現バキュロウイルスを作製しウイルス様粒子を得た。
ロタウイルス:B群ロタウイルス(RoV)cDNAのクローン化、分子系統樹解析を行い、主要株のVP2発現組換えバキュロウイルスを作製した。B群RoVは遺伝学的および抗原学的に複数の亜群に分類される可能性が示された。
ボカウイルス:3種類のボカウイルス構造蛋白からそれぞれ形成される中空粒子の発現、精製に成功した。この粒子を用いて抗体検出用ELISA法を樹立した。
E型肝炎ウイルス(HEV):新たに単離したHEV遺伝子型3の全長cDNAが感染性クローンであることを明らかにした。
ポリオーマウイルス:細胞指向性の決定は、ウイルス粒子表面を構成するVP1のみではなく、粒子内部に存在するVP2/3も関与することを見出した。メルケル細胞ポリオーマウイルスMCVの感染トロピズムが糖脂質糖鎖との結合性に関連することが初めて示された。
B型肝炎ウイルス(HBV):preS2の開始コドン付近に1塩基または4塩基の変異を導入することにより、細胞上清中のS抗原産生が著しく向上することが明らかになった。Meddle Sの効率良い発現が、small Sの発現、分泌効率に関与する可能性が示された。
結論
本年度の研究成果より以下の展開、進展が期待される。1. NoVの複製増殖機構に関する新規知見の蓄積。 2. B群RoV、ボカウイルス各遺伝子型の抗原抗体診断法の開発。3. 効率がよく汎用性の高いHEV増殖系の確立。4. 新規ポリオーマウイルス3種の感染機構の解明と診断系の確立。5. 遺伝子型特異的なHBV抗原検出法、全遺伝子型に有効なB型肝炎ワクチン開発のための基盤技術の確立.

公開日・更新日

公開日
2011-09-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201028049Z