結核対策の評価と新たな診断・治療技術の開発・実用化に関する研究

文献情報

文献番号
201028032A
報告書区分
総括
研究課題名
結核対策の評価と新たな診断・治療技術の開発・実用化に関する研究
課題番号
H21-新興・一般-016
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 誠也((財)結核予防会結核研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 小林 典子((財)結核予防会結核研究所)
  • 岡田 全司((独)国立病院機構近畿中央胸部疾患センター臨床研究センター)
  • 徳永 修((独)国立病院機構南京都病院)
  • 前田 伸司((財)結核予防会結核研究所)
  • 御手洗 聡((財)結核予防会結核研究所)
  • 切替 照雄(国立国際医療センター)
  • 山岸 文雄((独)国立病院機構千葉東病院)
  • 原田 登之((財)結核予防会結核研究所)
  • 伊藤 邦彦((財)結核予防会結核研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
63,650,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は従来の対策・技術の再評価と感染診断、菌検査、治療法、抗結核薬などの新技術の開発・評価を行うことである。
研究方法
研究代表者と9人の分担研究者で以下の10課題の研究を実施した。(1) 全国薬剤耐性調査、(2) 新化学療法剤を含めた治療方式の開発・評価、(3) 結核菌検出・薬剤感受性検査の技術開発と評価、(4) 小児結核対策・医療の評価、(5) 免疫脆弱集団における感染診断の評価、(6) 結核菌の感染性・病原性の評価方法の開発、(7) 結核菌のVNTR標準分析法の確立と自動化を目指した分析システムの構築、(8) 日本版DOTSの技術強化、(9) 結核病床の実態調査、(10)院内DOTS業務量調査。
結果と考察
(1) 2007年の薬剤耐性は2002年と比較して、未治療患者では有意な違いはなかったが、既治療患者のEB及び多剤耐性が減少していた。(2)RBT耐性が既存のRFP迅速診断キットで診断できた。多剤耐性の治療に有用な薬剤が示唆された。結核の抵抗性診断の基礎的検討を行った。(3)PCR法とLPA法を組み合わせた結核菌耐性遺伝子診断法を開発し、臨床評価で高い特異性・感受性が示された。(4)2008/09年の小児結核全症例調査によって、 大都市部への集中傾向、BCG未接種例の減少,髄膜炎等重症例の発生持続,有症状受診の3割は高蔓延国居住歴を持つこと,重症例は高度医療提供機関で診療されていることが示された。BCG骨炎は特に2005年以降発生が多く,確実な経過観察が必要と考えられた。(5) ESAT-6とCFP-10に対する各T細胞の反応を二重染色法によって検討した。(6)臨床分離株とH37Rvとの競合感染で発育変化率とクラスターサイズに相関が認められた。(7)自動シークエンサーを用いたフラグメント解析を利用したPCRのマルチプレックス化とPCR産物の分子量からコピー数の換算システムを構築した。(8)治療成功群と失敗・脱落群の治療終了後の再発率は明らかに後者が高かった。(9)結核病床の換気システムは多様で、システムの把握・維持・管理が不十分な場合があり、適切な室内面積やアメニティを持つ施設は限られていた。(10)良好な院内DOTS業務は種々の職種の特性・役割を活かして実施されることにより,患者の理解度・満足度が高めることが示唆された。
結論
日本の結核対策は低まん延状況の移行期にあり、新技術・システムを活用ながら対策を進める必要である。

公開日・更新日

公開日
2011-09-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-03-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
201028032Z