成人感染が問題となりつつある小児感染症への対応に関する研究

文献情報

文献番号
201028029A
報告書区分
総括
研究課題名
成人感染が問題となりつつある小児感染症への対応に関する研究
課題番号
H21-新興・一般-011
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 達夫(独立行政法人 国立成育医療研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 荒川 宜親(国立感染症研究所)
  • 吉川 哲史(藤田保健衛生大学)
  • 庵原 俊昭(国立病院機構三重病院)
  • 岡田 賢司(国立病院機構福岡病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
25,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
成人感染が問題となりつつある水痘、百日咳、麻疹の小児感染症への対応について予防接種を中心に研究した。水痘について、MRワクチン、水痘ワクチン同時接種の安全性、有効性検証、小児病院の院内発生状況、保育所の発生実態調査を行った。百日咳について、成人臨床症状確認、DPTワクチン接種の安全性、有効性の確認を行った。より高感度の新規血清学的診断方法を構築した。麻疹・風疹について、MRワクチン接種後の安全性、有効性を検討した。
研究方法
麻疹・風疹に関して、MR3期、4期接種後の安全性を検討。百日咳に関して、成人百日咳の実態調査、成人を対象にDPT0.2ml1回接種の有効性・安全性を検討。新規百日咳血清学診断法開発を目的とし、診断用抗原の検索・組み換え抗原を用いたELISA測定系を構築・評価した。水痘に関して、MRワクチン、水痘ワクチン同時接種の2回接種法の安全性・有効性を検証。小児病院の水痘発生状況、保育所の水痘発生実態等を調査。少数ではあるが、水痘特異的細胞免疫能を検討。
結果と考察
百日咳に関して、成人68例にDTPワクチンを接種し、安全性と有効性を確認。成人百日咳臨床症状調査では、少数ではあるが一定の症状の傾向が伺えた。成人百日咳確定診断の新規測定系を構築。水痘に関して、小児病院25施設の院内感染調査では、22例の院内発症を確認。MRワクチン1期接種時に27例に対し水痘ワクチンを同時接種し、良好な抗体価を確認。少数ながら水痘特異的細胞性免疫能を測定し、細胞性免疫能獲得の結果を得た。麻疹・風疹に関して、低抗体価妊婦の産褥婦36例にMRワクチンを接種し、90%に十分な抗体価を得た。
結論
百日咳に関して、DTPワクチン追加接種の安全性、有効性を確認。新たな診断用抗原を用いたELISA測定系を構築し、新たな血清診断法となるものと期待された。MRワクチン、水痘ワクチン同時接種では十分な抗体反応が得られたものの、水痘は2回接種が必要と推定された。小児病院の水痘院内発症状況等調査により、エビデンスに基づいた院内水痘発生対策構築が必要と思われた。保育園では水痘は毎年流行を繰り返し、患児、保育者、保護者の大きな負担となっており、定期接種化が必要と思われた。麻疹・風疹に関して、3期、4期MRワクチン接種後の安全性調査により、今後の成人MRワクチン接種に対する貴重な基礎データが得られた。MR低抗体価者産褥婦36例にMRワクチンを接種し、有効性・安全性を確認。細胞性特異免疫能に関しても引き続き検討する。

公開日・更新日

公開日
2011-09-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201028029Z